前方の交差点の信号が赤の時、左角にあるコンビニの駐車場を通り抜けてそのまま左折していってしまうクルマやバイクを見かけた事はありませんか? 通称コンビニワープと呼ばれるこの行為は、何か違反に該当するのでしょうか。

コンビニワープは危険!なにか罰則はある?

 せっかちな人がやってしまいがちなコンビニワープ。コンビニの駐車場やガソリンスタンドに入ったと思ったら、すぐに別の出口から出ていってしまうバイクやクルマを見たことがある人は少なくないでしょう。

 本来、赤信号で進めない方向へショートカットして曲がって行くこの行為は、道路交通法に抵触しないのでしょうか?

コンビニワープは曲がり角にある駐車場を利用して赤信号を無視して左折する行為
コンビニワープは曲がり角にある駐車場を利用して赤信号を無視して左折する行為

 交通相談コーナーの担当者は、次のように話します。

「そのような行為について、道路交通法ではとくに規定されていません。しかし、コンビニに入る際に停止線をまたいでしまうと、それは信号無視にあたります」

 そもそも道路交通法は、公道における危険を防止し、交通を円滑化させるためのもの。コンビニの駐車場は私有地なので、コンビニワープは道路交通法では規制できないのが実情です。ただし、道路交通法で規制されていないからといってコンビニワープをしても、許されるわけではありません。

 前述の交通相談コーナーの担当者は、「コンビニの駐車場は私有地ですから、ショートカットのためだけに通り抜ける行為は、施設の所有者の意に反する侵入とみなされます。その場合、建造物侵入罪が成立します」とも話します。

 建造物侵入罪の罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。急いでいる時にワープできたとしても、警察やコンビニの管理者に止められて罰則まで科せられてしまったら意味がありません。

 さらにコンビニワープをする人は時間を短縮したい気持ちが先行し、歩道を横切る際の一時停止や安全確認を怠りやすい傾向にあります。

 道路交通法第17条では、歩道や路側帯を横切る場合の一時停止が義務付けられているため、コンビニワープ自体が道路交通法違反にはならなくても、一連の流れのどこかで違反をしてしまっている人は少なくありません。

コンビニワープは取り締まりにくい?その理由とは

 前述した通り、コンビニワープをすると、いくつかの法律に引っかかってしまう恐れがあります。

 では、警察はコンビニワープを見かけた際は、取り締まっているのでしょうか。

駐車場に入った時点では判断が付きにくいコンビニワープ
駐車場に入った時点では判断が付きにくいコンビニワープ

 交通相談コーナーの担当者は次のように話します。

「もちろん可能な限り注意するようにしていますが、罰則を科すかどうかは現場の警察官の判断になります。またコンビニワープは、クルマが駐車場を出るまで通常の入店と区別がつかないため、注意しようと思っても間に合わないことも多々あります」

 コンビニワープを取り締まることは、現時点ではなかなか難しいようです。

 しかし、コンビニワープをすることによって駐車場内で事故を起こした場合、加害者側に重大な過失があると判断される可能性大。また、過去には焼肉店の駐車場で3歳の女児が軽トラックにはねられ、死亡してしまったという痛ましい事故も起きています。

 ほんの1、2分を短縮するために自分や他人の人生を台無しにしてしまうこともあるのです。急いでいる場合でも、コンビニワープや無理なすり抜けといった危険な行為は絶対にしてはいけません。

 自身を守るだけでなく、通行人や周囲の車両とのトラブルを避けるためにも、日頃から十分な安全運転を心がけましょう。