4輪モータージャーナリストの山田弘樹氏が、プジョーモトシクルから発売された「PM-01 125/ TWEET 125 GT」を4輪のジャーナリストの視点で走りやデザイン、性能について検証しました。4輪の意匠を2台のバイクは、継承しているのでしょうか?
4輪プジョーと同じデザインを継承!
「ちょっと面白いバイクがあるのですが、乗りませんか?」
4輪のモータージャーナリストである筆者(山田弘樹)に、珍しくバイクのニュース編集部の千葉編集長から連絡が入りました。聞けばプジョーモトシクルが今年、「TWEET 125 GT」(ツィート)というタウンスクーターとXP400 GPというオフロードGTスクーター、そして「PMー01 125」というアーバンネイキッドを発売するのだといいます。

筆者もプジョーが2シーターの可愛らしいスクーター、「ジャンゴ」を販売していたのは知っていました。ただ残念ながらそのジャンゴは、今年をもって生産が終了するとのこと。そして創業125周年を迎えたプジョーモトシクルのラインナップは新しく生まれ変わり、4輪と同じデザインDNAがそこに投入されたというのです。
ということで都内の集合場所へと向かうと、そこには2台の可愛らしいスクーターとネイキッドが待っていました。
今回試乗したのは、ジェットブルーのボディカラーが鮮やかな「PM-01」。そのフロントマスク、LEDヘッドライトの下には三本線のLEDデイタイムランニングライトが存在感を打ち出しています。

これは現行プジョーのデザインアイデンティティである「ライオンズクロー」(ライオンのかぎ爪)。そしてタンクには新しくなったライオン・エンブレムが装着されて、この小さなネイキッドがプジョーであることを、ちょっと誇らしげにアピールしていました。
上位機種のエンジンは300cc(21.5kW/24.5Nm)ですが、いち早く上陸を果たしたのはこの125cc(10.2kW/11Nm)。エンジン形式はいずれも水冷・単気筒のSOHCです。
アクセルをひねれば、125ccとは思えない勇ましい排気音を響かせてくれる
キーをひねってスターターボタンを押しながら、軽くアクセルを開ければエンジンは“ボロロン!”と元気に一発始動。サイレンサーからは結構乾いた低音が、排気量の割に勇ましく響きます。

アクセルをあおると単気筒ユニットが、軽やかにレスポンス。同排気量の国産車よりも、その吹け上がりはちょっとワイルドで、“おっきなグロム”という感じです。
足つきは身長171cmの筆者がブーツを履いて、うっすら両足が付くくらい。片側にちょっと傾ければ足がつき、車重も152kgと軽いから、支えるのはイージーでした。

重たくはないけどカッチリとしたフィールのクラッチをつなぐと、PMー01はスムーズにスタート。低速でも粘ってくれるエンジンは4輪のプジョーっぽいですが、タコメーターの文字が7000rpmから大きくなっていることからもわかる通り、上まで回した方がキャラには合っているようです。

レッドゾーンとなる9500rpm付近のフィールは取り立ててシャープではないけれど、上までブンブン回すのはとっても楽しい。6速ミッションのギア比も適度にステップが利いていて、運転していると元気になれるバイクというのが、その第一印象でした。
さてプジョーといえば、4輪でよく言われるのが「猫あし」です。
それはストロークフルなサスペンションを、コシのあるダンパーで制御した足周りを例えた言い方で、ヨーロッパ郊外の荒れた道路や、石畳を走るときの快適性や、ロードホールディング性の良さを言い表しています。
プジョー伝統の“猫あし”は、新型ネイキッドにも踏襲されているのか?
果たしてその“猫あし”が、プジョーの新型ネイキッドにも踏襲されているのかというと、個人的にはちょっと違う印象を持ちました。

むしろその足周りはフロントの剛性感が高く、ガッシリ安定したフィーリング。300ccと同じφ41mmの倒立フォーク、そして17インチタイヤが投入されていることも、利いているのでしょう。それは完全にシャシーファースターなキャラクターで、むしろそれは現行プジョーのスポーティで安定感のあるハンドリングに似ています。
そしてこのシッカリしたフロントサスのおかげで、ブレーキングでも安心して前荷重を入れることができる。その際リアタイヤの追従性も安定していて、安心してコーナーに入って行けます。

そのハンドリングは積極的にフロントを切れ込ませて行くタイプではないですが、だからこそ私のようなアベレージライダーでも、コーナリングが楽しめる。
走れば走るほど対話が出来て行く感じは、まさにプジョーです。たとえればGTIのような速さはないけれど、106時代の“テンサン・ラリー”(1.3ラリー)を運転するような楽しさを感じました。