現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」が、2023年5月29日〜6月10日の日程で始まります。TTレースはコロナ禍による2年間の休止を経て2022年に復活し、今年は大幅に日程やタイムスケジュールが変更されての開催となりました。
“もろもろ”の理由で、日程が大幅に変更された
現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」(以下、TTレース)が、2023年5月29日〜6月10日の日程で始まります。
TTレースはコロナ禍による2年間の休止を経て2022年に復活し、今年は大幅に日程やタイムスケジュールが変更されての開催となります。
レース専用サーキットが無い時代の1907年に始まったTTレースは、現在でも公道を閉鎖して行なう「公道レース」として開催されています。
1周60kmの公道を使用するので、練習走行できるのは限られた時間しかありません。このため、これまで約2週間という長い会期のうち、前半1週間は「クオリファイ(予選)」を兼ねる練習走行「プラクティス」が、後半1週間は土曜日・月曜日・水曜日・金曜日の4日間で5〜6クラス、計8〜9レースの決勝が行なわれるという日程で開催されてきました。
まず、今年のスケジュールは次の通りです。
【クオリファイ(予選)】
5月29日(月)〜6月2日(金)
【決勝レース】
6月3日(土)スーパースポーツ1、サイドカー1
6月4日(日)スーパーバイク
6月6日(火)スーパーストック1、スーパーツイン1
6月7日(水)スーパースポーツ2、サイドカー2
6月9日(金)スーパーストック2、スーパーツイン2
6月10日(土)シニアTT
プラクティスは、仕事や学校の時間を避けて午前4時から6時に行なわれるモーニング・プラクティスと、午後6時から9時のイブニング・プラクティスの1日2回行なわれていました。しかし、早朝のプラクティスは選手やチーム、コースマーシャルらの負担が大きいことから2004年に廃止されました。
ところが、TTコースを1周するには約18分前後かかるうえ、降雨や霧が出た場合は走行が中止になりがちです。イブニング・プラクティスだけだと走行の機会が少ないという課題があり、ここ数年は決勝レース後に1周のプラクティスが追加されていました。
また、昨年からは決勝レース前に1周のウォームアップラップが追加されました。
そんなTTレースの日程が今年、大幅に改革されました。大きな変更は2つ。
まず「プラクティス(練習)」の呼称が「クオリファイ(予選)」となりました。これは、選手に対してより高い緊張感を持って走行に挑んで欲しいという意識付けの意味と、観戦客に対してクオリファイ走行も決勝レースと同じような、レーシングアベレージで走るというアピールの狙いがあると思われます。
またクオリファイ初日の5月29日、月曜日はマン島の休日(=Bank Holiday)となり、新たに「アフタヌーン・プラクティス」(文字通り練習走行で、タイム計測はされない)の走行時間が加わることになりました。
そして、決勝開催日の日程が大幅に変更されました。
前述のように、長らく「土・月・水・金」の1日おき4日間だったところが、今年から「土日・火水・金土」の6日間となり、「2日間連続で決勝」+「1日レストデー(予備日)」という組み合わせの日程になります。
これは天候不順などによる変更に対応しやすいこと、また週末の開催日を合計3日間に増やすことで、昨年から始まった映像を含む生配信の集客と、来島する観戦客の日程の分散を狙ってのことだと考えられます。
さらに、最初から日曜日に決勝が行なわれるようになったことも、TTレースにとって歴史的な変革です。
もともとマン島では、教会の日曜礼拝に配慮するため日曜日のレース開催ができませんでしたが、近年、法律が変更され、天候不順などによる延期でやむを得ないときは日曜日を予備日にできることになりました。今年はさらに一歩進んで、最初から日曜日に決勝レース日が設定されました。
と、大きな変更を伴いながら、2023年の「マン島TTレース」が開幕するのです。