レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、トヨタ自動車の営業利益がスゴイと言います。どういうことなのでしょうか?

お金の大きさを時間に変換してみると……

 トヨタ自動車は今年も、とてつもない利益を上げて決算を公表しました。営業収益は37兆1542億円、営業利益は2兆7250億円に達したのです(2023年3月期)。

ホンダ「モンキー50」と筆者(木下隆之)
ホンダ「モンキー50」と筆者(木下隆之)

 総売上高から、原価を引きます。さらに販売のための経費や宣伝広告費、あるいは営業のかかった人件費や交際費など、諸々を差し引いた金額が営業利益になります。つまり、本業に対する儲けであり、ベタな言い方をするならば、財布に残った使い道の自由なお金のこと、それが2兆7250億円……。

 一体どれほどのお金なのでしょうか。庶民の僕(筆者:木下隆之)にはなかなか実感のない数字で、もし仮に30万円だとするホンダの「モンキー50」(筆者の愛車)を毎日購入したら、何年で2兆7250億円がなくなってしまうのか? と、そんなたわいもない計算をしてみたのです。

 ちなみに、何年だと思いますか? あまり深く計算せずに、イメージで答えてください。5秒ほどで回答してください。

 およそ50年とか100年とか、その辺りだと想像したのではないでしょうか。

 それが……「2万2460年」です。

 1日目が30万円、10日後が300万円、100日で3000万円、1年で1億950万円です。

 10年で10億9500万円、100年で109億5000万円、1000年で1094億円……と、ここまで計算が合っているのか、自信がなくなってきました。

 1万年で1兆950億円。つまり、2兆7250億円を使い切るには、毎日「モンキー50」を購入し続けても2万2460年かかるのです。

 いまから2万2460年後に日本がどうなっているのかなんて想像がつきません。もちろん「モンキー50」が復刻生産されている可能性はゼロに等しいでしょう。地球が亡くなっているかもしれませんし、人間が進化することで、あるいは空を飛べるようになっているかもしれません。

 逆に時代を遡れば、2万2460年前は旧石器時代です。大陸から人類が日本へ移住してきたのが紀元前1万4000年とされています。それから縄文時代が始まったと言われています。それでも1万4000年です。

 縄文式土器も作れなかった人間が宇宙旅行へ至るまでに進歩したその時の流れ以上の時間を、これから先ずっと、「モンキー50」を購入することができるのです。

 ……やはり、2兆7250億円というお金の大きさは、庶民の僕には実感のない数字です。