自転車のメンテナンスのキホン、はじめの一歩と言えば、タイヤの空気圧調整でしょう。多くの人が言われるまでもなく知っていることだと思いますが、実際に空気圧が不足するとどのような不都合があるのか、あらためて解説します。
気持ちよく乗り続けるために、まずやるべき事
自転車のメンテナンスのキホン、はじめの一歩と言えば、タイヤの空気圧調整でしょう。多くの人が言われるまでもなく知っていることだと思いますが、実際に空気圧が不足するとどのような不都合があるのか、あらためて解説します。

まず運転する人の視点から見てみると、乗り心地に大きく影響します。自転車のタイヤには一定の幅をもった「適正空気圧」が設定されていて、その下限を下回る空気圧ではタイヤが潰れてしまい、転がりが極端に悪くなります。イメージとしては、ぷにぷにのお餅のような状態で地面にべったりとくっつくことになり、ペダルを漕ぐ足にいつも以上の力が必要になります。いわゆる燃費が悪い状態です。
逆に、タイヤがカッチカチになるまで空気を入れれば良いかというと、そういうわけではありません。確かに転がりが良くなるのでスピードも出しやすく燃費も良い状態にはなりますが、地面に接する面が少なくなるのでグリップ性能が低下して滑りやすく、地面からの衝撃を吸収しにくくなることでハンドルを押さえる腕の力がより必要になり、サドルに乗せているお尻が痛くなるなどのデメリットがあります。また、「適正空気圧」の上限を上回ると、最悪の場合バースト(破裂)してしまう恐れもあります。
次に自転車の視点から見てみると、空気圧不足の状態で走ると短期的なところではパンクしやすくなります。タイヤのパンクと言うと何かしらの突起物が刺さって穴が開くことをイメージする人が多いと思いますが、その原因の多くは空気圧不足から起こる、いわゆる「リム打ちパンク」です。
リムとは主にアルミやステンレスなどで作られている車輪の部分のことで、空気圧不足の状態でタイヤが段差を越えようとするとその瞬間、タイヤが完全に潰れてリムと地面でチューブを挟むことになってしまい、穴が開きます。
タイヤに何かが刺さった場合は基本的にはチューブの外側から穴が開きますが、「リム打ちパンク」の場合はチューブの内側から穴が開くので一目瞭然です。
中長期的な視点では、チューブの寿命が著しく縮みます。空気圧不足の状態で自転車に乗ると、十分に膨らんでいないチューブはタイヤの内側に密着しないため、中で動いてしまう隙間ができます。そうすると、まさに消しゴムが削れていくように、チューブ自体が削られます。
そうやって薄くなってしまったチューブは穴が開きやすくなり、通常のパンク修理では応急処置にしかならないため、チューブ自体を交換することになります。
なお、自転車の「適正空気圧」はタイヤの側面に記載されています。自転車の種類ではなく、タイヤの種類によって決められているので注意が必要です。
種類やメーカーによって異なりますが、単位は「bar(バール)」、「psi(ポンド・パー・スクエア・インチ)」、「kPa(キロパスカル)」、「kgf/cm2(重量キログラム毎平方センチメートル)」などの単位で記され、空気圧ゲージ付きの空気入れがあれば、数値を見ながら適正値まで空気を入れることができます。
快適なサイクルライフのキホン、はじめの一歩はタイヤの空気圧調整から。1〜2週間に1度はタイヤの空気圧を気にしてみてください。