国内外で活躍するレーシングライダーの石塚健選手が、FIM世界耐久ロードレース選手権 最終戦、ボルドール24時間耐久レースに参戦。その様子をレポートしてくれました。
問題てんこ盛り!トラブル続きの24時間
皆さんこんにちは!レーシングライダーの石塚健です。
2023年9月14日から9月17日に、フランスにあるポール・リカールサーキットで、FIM世界耐久ロードレース選手権の最終戦 ボルドール24時間耐久レースが開催されましたので、そちらをレポート。今回はその後編、決勝レースの模様をお伝えしていきます!
決勝日の15時にレースはスタート。自分の走行順は2番目で、スタートライダーはグレッグ選手が務めました。

スタートをして10数周した後、予選の時から懸念していたトラブルが再発してしまい、序盤から緊急ピットイン。その後チームが必死に修復し、問題なく周回しているように見えたのですが、またもすぐにピットイン。今度は別のトラブルが発生してしまうなど、スタートから約2時間の間に、7回ものピットインを繰り返しましたが、ようやく普通に走行できる状態となりライダー交代。
自分の第1スティントは、トラブルが完全に解消された訳では無いものの、ライダー側でなんとか工夫してラップを重ねます。しかし、マシンの状態が万全ではないため、普段以上に集中力が必要で、ミスのできない状況に疲労も増していきました。
そしてスタートから6時間程が経過し、SSTクラス25位を走行中、今度は第3ライダーのマッテオ選手が痛恨の転倒。レギュレーション上、ピットにマシンを戻さないとレースに復帰する事が出来ない為、重いツナギを着た状態で重たいマシンを手で押しながら、自力でピットに戻ることになります。
幸いにもコース後半での転倒だった為それほど時間を要さず、バイクも軽傷で済みました。

そんなトラブル続きの中、朝の5時、徐々に空も明るくなってきた残り10時間のところで、自分の6スティント目の走行中盤に、シフトペダルが折れてしまいピットイン。緊急ピットインとなったので、そのまま続けてもうワンスティント行く事になります。
体力的にもかなり厳しい時間帯で無理をしたく無かったので、少し早めにピットインし、マッテオ選手に交代。その後もブレーキやスロットルにもトラブルが発生し、何度かピットイン。修復に時間をかけてしまいますが、ひとつずつ直しながら確実にラップを重ねていきました。
残り2時間。いよいよチェッカーが見えてきました。ここまでに他チームの転倒やマシントラブルも増えてきており、セーフティーカーが介入。この時点で10チーム以上がリタイアするサバイバルな状況のなか、上位を目指せる状態ではないものの、チーム全員がチェッカーを目指して走り続けます。
そしていよいよチェッカー時刻となる15時。試練の多かった24時間でしたが、なんとか最後までマシンを運ぶ事ができ、総合28位、SSTクラス17位でチェッカーを受けることができました。
チェッカーを受けた瞬間の達成感は、今シーズンのどのレースよりも大きなものでしたが、悔しさも今シーズンのレースで1番という複雑な心境。
目の前につぎからつぎへと現れる壁を乗り越え、なんとか現状のベスト尽くし、チェッカーを受けられた事は本当に良かったです。

しかし、転倒やトラブルを引き起こし、自分達で自らチャンスを失ってしまった事に、悔しさと情けない気持ちも大きい事は否めません。
勝負をするには、全てが揃わないと簡単では無いと理解をしてはいるものの、それ以前にもっと改善していかなければならない点がチーム、ライダー共にある事を痛感させられる24時間でした。
自分自身の調子がどれだけ良くても、それが結果に繋がらない事の方が多いのが耐久レース。改めて耐久レースの難しさを痛感させられた、今大会でした。
当然悔しさは残りますが、この経験は来シーズンに活かしたいと思います。
今シーズンのレースはこれにて終了となりますが、僕のレースは来年以降もまだまだ終わりません!
来シーズンからのレース活動にも是非、注目していただけると嬉しいです。
今シーズンもレースレポートをご覧くださり、ありがとうございました!