運転免許証を透かして見てみると、顔写真の左横あたりに何か四角いものが埋め込まれているのが確認できます。実はこれはICチップなのですが、いったいなぜ埋め込まれているのでしょうか。

一体いつから!?免許証にICチップが埋め込まれているワケ

 運転免許証は昔から、ほとんど見た目が変わっていないので、気付いていない人も多いかもしれませんが、2007年からカードの中にICチップが埋め込まれるようになりました。

 ICカード免許証は、それ以前の免許証とサイズはほぼ変わりません。しかし、従来の免許証で記載されていた本籍欄がプライバシー保護のため空欄になっています。また、ICチップが埋め込まれたことで、1.5倍ほど厚みが増して物理的にも丈夫になっているのが特徴です。

 埋め込まれているICチップは、目視では確認できません。しかし、光にかざしてみると、顔写真の左側に5ミリ四方ほどの大きさのICチップの影を確認することができるでしょう。 ではなぜ、ICカード免許証が導入されたのでしょうか。

2007年以降に発行された免許証にはICチップが埋め込まれている
2007年以降に発行された免許証にはICチップが埋め込まれている

 これは、偽造免許証を悪用した犯罪を防止するためというのが理由のひとつです。かつては、本物と見分けがつかないほど精巧にできた偽造免許証による犯罪が横行していました。

 例えば、偽造免許証を使って他人になりすまし、銀行口座を開設したり、携帯電話を契約、振り込め詐欺などの不正に利用されていたのです。

 しかし、ICカード化されたことで簡単に偽造することができなくなりました。なぜなら、ICカード免許証を偽造しようとしても、技術やコスト面においてのハードルが上がり、簡単に悪用することができなくなった為です。

ICカード免許証が導入された理由は悪用防止と個人情報保護のため
ICカード免許証が導入された理由は悪用防止と個人情報保護のため

 さらに、もうひとつICカード化された理由として、免許証に本籍を記載しないことでプライバシーの保護に配慮する目的が挙げられます。

 ICカード免許証に変わってから、新規で取得あるいは更新した人は、4ケタの暗証番号を2つ設定した記憶があると思います。しかし、日常生活で免許の暗証番号を使う機会がほとんどありません。そのため、暗証番号を忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか。

 実は、この暗証番号の設定は義務ではありません。しかし使われているのは非接触型のICチップのため、仮に至近距離で専用の読み取り装置が使用された場合、ICチップに入っている個人情報が抜き取られるおそれがあります。そのため、警察では暗証番号を設定することを推奨しているのです。

 なお、免許証のICチップには氏名、生年月日、運転免許証交付年月日、有効期間、免許の種類、運転免許証番号に加え、顔写真と本籍が記録されています。

 暗証番号は2つ。まず1つ目の番号を入力すると顔写真と本籍を除いた情報を見ることができ、両方の番号を入力することですべての情報を見ることができる仕組み。

 現状では、日常生活で暗証番号の入力を求められる場面はほとんどありませんが、一部の市町村や銀行などでは、本人確認を簡素化するために利用されているケースもあります。また、国内の米軍基地に入る際は、セキュリティ強化のために暗証番号の入力が求められるそうです。

ICカード免許証内の情報を見るには作成時に登録した暗証番号が必要
ICカード免許証内の情報を見るには作成時に登録した暗証番号が必要

 なお、暗証番号は一度設定すると、新たに免許の交付を受ける際まで変更することができません。そのため、次回の更新時や、新たに運転免許を取得したときのみ再設定することが可能。

 なんとなく決めてしまって、暗証番号を忘れてしまったという人もいるかもしれませんが、もし忘れてしまった場合は、本人が免許証を持参して、運転免許試験場や運転免許センター、または警察署の担当窓口に申し出れば、照会してもらうことができるのですが、個人情報の保護の観点から電話での問い合わせはできません。

 また、3回続けて暗証番号の入力を間違えると情報がロックされてしまい、ICカードが読み取れなくなります。この場合も暗証番号を忘れた際と同様に、警察署などに出向いてロックを解除してもらう必要があります。

 受付時間は平日の8時30分から16時30分までのケースが多く、地域によって時間が前後することもあるので要注意。運転免許試験場や運転免許センターでは、日曜日でも受け付けているところもあるので、平日に都合がつかない人は事前に調べておくと良いでしょう。