e-BIKE(電動アシスト自転車)が市販化されて約30年。いまや日常生活で当たり前の存在になり、いくつかの革新的な進化はあったものの、使う人にとっては「変わり映えしない」と思われがちな乗りものかもしれません。しかし、実際は使う人がより便利になるようUI(ユーザインターフェース)は日々進化を続けています。

こんな機能が欲しかった! を実現する企業努力に拍手

 先日、日本を代表する大企業であるソニーとホンダが夢のタッグを組んだ「ソニーホンダモビリティ」が、電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプを公開しました。ドアハンドルがなく顔認識で自動開閉するドアや、映画や音楽、ゲームまで楽しむことができる超横長モニターなど、「動くスマートフォン」としてメディアで紹介され注目を集めました。

e-BIKEも、ユーザーにとってより便利な機能やデザイン、使いやすく快適な操作を可能とする進化は続いている
e-BIKEも、ユーザーにとってより便利な機能やデザイン、使いやすく快適な操作を可能とする進化は続いている

 無駄のないシンプルなデザインはまさに「未来のクルマ」といったたたずまいで、これからまたどんな進化を遂げるのだろうとワクワクさせてくれます。クルマの世界では技術の進化にともなって、「電動化」「自動運転化」「ソフトウェアの発展」がしばらく焦点になるだろうと言われていますが、自転車の世界はどうでしょう……。

 自転車は1人乗りで人力で動くことが大前提の乗りものであり、そもそもがシンプルな構造で毎日当たり前のように使っているので、進化がなかなか見えづらいかもしれません。

 確かに、大昔の生まれたばかりのころの自転車に比べれば、フレームやハンドルの形状は使いやすくなり、ゴム製のタイヤとチューブ、フリーホイールの発明、シフトレバーの変化など進化してきた部分はありますが、ここ数十年においては「そこまで変わってないんじゃないの?」と思ってしまうほど変化のない印象があります。しかし実際は、時に急速に、時に徐々に、進化を続けています。

 急速な変化と言えば、ご存じ電動アシスト自転車(e-BIKE)の大幅な躍進があります。現在ではe-BIKEを街で見かけない日はないと言えるほど普及しましたが、市場デビューは、ほんの30年ほど前です。クルマの「電動化」よりも以前から、自転車の電動(アシスト)化は始まっていたとも言えます。

 ただ、30年も経つと当時のインパクトが薄れて「登場以来何も変わっていない」と思ってしまうかもしれません。もちろんバッテリー素材の変化、モーターの軽量化、各種センサーの発展など、目に見えない進化は続けているのですが、なかなか分かりづらいものです。

 最近では「ソフトウェアの発展」とも言える進化が徐々に進んでいます。たとえばe-BIKEの手元のスイッチを見ると、一昔前は電源のON/OFF、アシストパワーの切り替え、ライトの点灯などの操作がメインでしたが、ヤマハが2023年モデルから採用した「スマートクロックスイッチ」は、バッテリー残量が20%を下回るとランプの点滅とブザーで知らせてくれるという、ありそうでなかった新機能を搭載しています。

 また、パナソニックでは2024年モデルの「ティモ・A」という車種限定になるのですが、タイヤの変形量からモーターが自動的に推定して空気を入れるタイミングをスイッチに表示して教えてくれる機能を搭載しています。自転車のパンクの原因の7割が空気圧不足と言われるなかで、この機能が有効となればかなり画期的な進化になると思います。

 ほかにも、e-BIKEに取り付け可能な通信型ドライブレコーダーが開発・販売されるなど、周辺機器も徐々に進化が続いています。流石に自転車に乗りながら映画や音楽といったエンタメ部分での進化は安全のためにも望むべきではありませんが、ユーザーにとって便利な機能や使いやすさ、いわゆるUI(ユーザインターフェース)という点では、さらなる進化が期待できます。

「自動運転化」については、「さすがにそれは無理だし、やっちゃダメだろ」と思いもありつつ、「小型ジャイロの進化で倒れなくなれば、自動運転は無理でもクルーズコントロールはできるんじゃないか?」などという、未来の技術に期待する部分もある気がします。

「これ以上はもう変わりようがない」と思われがちな自転車ですが、その進化・発展については、まだまだ余地がありそうです。