タンデム走行は、家族や恋人、友人など親しい人と、バイクの爽快感や美しい景観を共有しやすいなど多くの魅力にあふれています。ではタンデム走行で後ろに乗る場合、どういった点に気をつければ安定して乗っていられるのでしょうか。

楽しいタンデム走行!同乗者はどんな点に気をつけて乗ればいい?

 バイクのタンデム走行(2人乗り)は、ライダーと同乗者(以下、パッセンジャー)が協力し合ってはじめて安全に走ることができます。ライダーはバイクに慣れていても、パッセンジャーはバイクにはじめて乗るまったくの素人というケースも少なくありません。

安全に走行するためにはタンデムする人もバイクの乗り方を知っておくことが大切
安全に走行するためにはタンデムする人もバイクの乗り方を知っておくことが大切

 タンデムするときの乗り方や注意すべき点を知らないと、走行中に怖い思いをしたり、大きな事故の原因になったりなどしてケガを負う可能性もあります。タンデム走行で安全に走行するためにも、パッセンジャーもバイクの乗り方を知っておくことが大切です。

 では、いったいそういった点に気をつければよいのでしょうか。

 まず、万が一転倒したときにケガをしないように、長袖・長ズボンを着用し肌を露出しない服装が基本です。暑いからといって半袖・短パンなどは、転倒したときに大ケガを負うリスクがあり大変危険です。

転倒したときにケガをしないように、長袖・長ズボンを着用し肌を露出しない服装が基本
転倒したときにケガをしないように、長袖・長ズボンを着用し肌を露出しない服装が基本

 また素手だと転んだ拍子に地面に手をついてケガをするおそれがあるので、必ずグローブをはめて手を守ります。足元はくるぶしが隠れる高さのブーツが理想ですが、なければスニーカーで対応しても問題ありません。

 なお、パッセンジャーも法律でヘルメットの着用が義務付けされているため、タンデムする当日までに用意する必要があります。ヘルメットは「ジェットタイプ」か「フルフェイス」を選ぶことが重要です。

 ジェットタイプは頭部と側面をカバーし、口元は覆うものがないため開放感があり、ヘルメットをかぶったまま飲食したり、会話がしやすいというメリットがあります。フルフェイスは頭全体をすっぽりと覆うため、安全性の高さが魅力です。

 なお、「半ヘル」と呼ばれるハーフタイプもありますが、頭の側面やアゴ、顔面がむき出しの状態になるので安全面に不安があります。大切な頭部を守るためにも、しっかりとした作りのヘルメットを選ぶことが重要です。

 また、寒さ対策も忘れずにおこなうと安心です。走行中は風が当たることで、普段歩いているときよりも体感温度は寒く感じるので注意が必要です。いつもよりも多めに重ね着をするか、調節しやすい服装でカバーするとよいでしょう。

 またバイクに乗り降りするときは、ライダーに言葉で伝えるか、肩を叩くなどの合図を決めてからおこないます。突然乗ったり降りたりすると、ライダーはバランスを崩して転倒する可能性があります。

バイクが傾いたらパッセンジャーも一緒に体を傾けることがポイント
バイクが傾いたらパッセンジャーも一緒に体を傾けることがポイント

 加えて走行中のタンデム、とくにカーブでは、バイクが傾いたらパッセンジャーも一緒に体を傾けることがポイント。もしパッセンジャーが体を傾けるのを怖がって反対方向に重心をもっていくと、バイクはたちまちバランスを崩すことになりコントロールを失います。そのため、カーブで自然と体を傾けられるように、普段からイメージトレーニングをしておくとよいかもしれません。

 そして乗車姿勢は、ライダーと一体感を得るためニーグリップが基本です。ニーグリップとは、タンクを膝で挟んでライディング時の体を安定させるライダーの基本姿勢のこと。これをパッセンジャーに応用すると、ライダーの腰あたりをヒザで挟んで体を安定させます。

 乗車時のつかまり方は、それぞれの体格やバイクの構造によってケースバイケースです。とくによく見られるのが、グラブバーや腰をつかむ方法。

乗車時のつかまり方は、両手で同じところを掴むのではなく、片手で腰をつかみ、もう一方の片手で後ろのグラブバーをつかむ方法
乗車時のつかまり方は、両手で同じところを掴むのではなく、片手で腰をつかみ、もう一方の片手で後ろのグラブバーをつかむ方法

 できれば両手で同じところを掴むのではなく、片手で腰をつかみ、もう一方の片手で後ろのグラブバーをつかむ方法です。この方法だと、急ブレーキや急発進した際でも、前後にブレにくく体を支えやすくなります。

 また、両手をライダーの腰にまわして抱きつく格好のつかみ方は、パッセンジャーは安定しやすいですが、急ブレーキの際にライダーに不可がかかります。なお、男性同士のタンデムだと、密着しすぎて少し恥ずかしいかもしれません。

 そのほかの注意点としては、パッセンジャーは運転をしないことから集中力が散漫になり、眠気に襲われることが挙げられます。ウトウトしている間に体の力が抜けて転落する危険があるので、眠くなったら無理せずにライダーに休憩を申し入れましょう。

 また、運転中のスマートフォンの使用や飲酒運転は厳しく禁止されていますが、パッセンジャーに対して規制する法律はありません。したがって、タンデム中にこれらの行為におよんでもパッセンジャーが違反で捕まることはないようです。

 ただし、飲酒による影響でライダーの運転を妨げたり、周囲の車両に危険をおよぼす行為をした場合は、ライダーに責任が問われることになります。そのためタンデムする場合の飲酒やスマートフォンの使用はモラルの範囲にとどめ、ライダーの運転のサポートに徹することが大切といえそうです。

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 タンデム走行でバイクを安定させて走行するには、ライダーの運転だけでなくパッセンジャーの協力が不可欠です。後ろに乗るパッセンジャーも、運転している気持ちでタンデムするとライダーとの一体感が生まれるのかもしれません。