横断歩道手前で一旦停止せずにそのまま進入してしまったら、どのような違反となるのでしょうか。

一時停止せずにそのまま横断歩道に進入すると違反になるって本当?

 横断歩道を歩行者が渡ろうとしているにもかかわらず、停止せずに通過する車両を見かけたことがあると思います。

 JAFがクルマを対象とした2023年の調査によれば、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場面で一時停止をしたクルマは全国平均で45.1%と、過去最高を記録。

 バイクやクルマの運転者は、横断歩道または自転車横断帯(横断歩道等)に近付いた際、渡ろうとする歩行者や自転車が明らかにいない場合を除いて、その手前でただちに停止できる速度まで減速しなければなりません。

 では、歩行者がいるのに横断歩道の手前で止まらずにそのまま走行した場合、どのような違反が適用されるのでしょうか。

歩行者がいるのに横断歩道の手前で止まらずにそのまま走行した場合は違反となる。
歩行者がいるのに横断歩道の手前で止まらずにそのまま走行した場合は違反となる。

 道路交通法第38条では、横断歩道等を横断している、または渡ろうとしている歩行者や自転車がいる場合は、横断歩道等の手前で必ず一時停止をしなければならないと定められています。つまり、横断歩道に歩行者がいる場合は、「赤信号」と同じで、歩行者が渡り終えるまで停止して待つことが義務付けされているということ。

 道路を利用するすべての運転者がこの原則を守ることで、歩行者との接触事故を未然に防ぐことにつながります。そのため、いくら急いでいるからといって、歩行者の横断を遮るなど通行の妨害をすると「横断歩行者妨害」。違反行為が認められた場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、違反点数2点に加え二輪車で7000円、原付で6000円の反則金が科せられます。

 警視庁のデータによると、2018年から2022年までの5年間で自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故は4678件発生しており、そのうち約7割にあたる3295件が歩行者の横断中に起きています。

 そのうち2150件が、横断歩道以外の場所を横断中の事故で、さらにそのなかの約7割は、走行中の自動車の直前または直後を横断するなどの法令違反による事故でした。交通違反全体の検挙数は年々減少傾向であるにもかかわらず、歩行者妨害の検挙数はこの5年間で約1.9倍となっています。

 このことからも、警察が歩行者妨害の取り締まりを強化していることが見て取れるでしょう。

道路交通法には運転者だけでなく、歩行者にもルールが定められている。
道路交通法には運転者だけでなく、歩行者にもルールが定められている。

 なお、道路交通法には運転者だけでなく、歩行者にもルールが定められています。

 事故を未然に防ぐためにも双方がルールをしっかりと理解し、きちんと守ることが重要。横断歩道での歩行者優先のほかにも、道路交通法ではルールが細かく定められています。

 警視庁のデータが示すとおり、歩行者との接触事故は横断歩道以外で発生する割合が高くなっています。つまりバイクやクルマの運転者は、横断歩道だけでなく歩行者に対して常に注意して運転しなければなりません。

 道路交通法38条2では、「車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない」とも定められています。そのため歩行者は横断歩道を渡るものという思い込みを捨て、あらゆる事態を想定して運転することが求められているのです。

横断歩道がある事を現わす道路標識
横断歩道がある事を現わす道路標識

 一方の歩行者は、近くにある横断歩道や信号機のある交差点、横断歩道橋、横断用地下道などを横断するのが原則。歩行者も、事故を防ぐために交通ルールを守ることが求められます。

 とくに重要となるのが、道路交通法13条で定められている「歩行者横断禁止」の標識がある道路での横断を禁止するルール。そのほか、車両等の直前または直後の横断や、道路の斜め横断、ガードレールのある場所での横断もしてはいけません。

 そして運転者は、ルールを守る歩行者ばかりではないことを念頭に置いて運転する必要があります。事故を未然に防ぐには、歩行者がルール違反をすることを想定しながら、あらゆる事態に備える必要があるといえるでしょう。

 そのほか、横断歩道の手前で停車しているクルマやバスの側方を通過する際は、その車両の前に出る際に一時停止をしなければなりません。

 また、横断歩道の30m手前および通過する際は、追い越しと追い抜きが禁止。これは、前方のクルマや対向車の影に隠れ、横断中の歩行者が見えずに接触するのを防ぐためのルールです。

 歩行者の横断を妨害しないために注意すべきポイントは、いち早く横断歩道や歩行者を認識し、すぐ止まれる速度に落とすこと。夜間や対向車線が渋滞している場合は、歩行者が見えづらい時もあるでしょう。

 そのような場合は注意喚起のために、横断歩道がある道路の手前には、横断歩道の存在を示す標識や道路標示が設けられています。標識は五角形で、青地に子どもが歩いているイラストが描かれており、道路標示は白地のひし形マークがペイントされているのが特徴。

 この2つを見つけたら、横断歩道があることを知らせる目印なので、急に歩行者が飛び出して来ても、すぐ止まれるように減速して準備するようにしましょう。