スポーツバイクのステップの下(裏)には、棒状の長めのボルトのような部品が見られます。コレはいったい何のためなのでしょうか? いまいちカッコ良くないし、パンツの裾が引っかかったりしてドキッとするコトもありますが……。

ステップに装備された棒は「バンクセンサー」

 ほとんどの国産バイク(スクーターを除く)は、ステップの下(裏)に棒状の部品が装備されています。これはカーブを曲がるために車体を深くバンクさせた時に、真っ先に路面に接地して“ココがバンク角の限界”とライダーに知らせるための「バンクセンサー」です。

ステップの下に装備される「バンクセンサー」。写真はスズキ「Hayabusa」のステップ(左側)
ステップの下に装備される「バンクセンサー」。写真はスズキ「Hayabusa」のステップ(左側)

 バイクを深く傾けていくと、いずれ車体のどこかが路面に接地します。そして路面に擦れてキズが付くだけならまだしも(コレも嫌ですが)、フレームやエンジンなど車体を構成する頑丈な部品が接地すると、その場所を支点にしてタイヤが路面から浮いてしまう危険があります。当然スリップし、それが原因で転倒する可能性も大きいと言えます。

 それを避けるために、バンク角が深くなっていったときに、ステップの下に備えたバンクセンサーの先端が真っ先に路面に接地して、振動や音でライダーにバンク角の限界を知らせるのです。

可倒式のステップ(右側)。写真はカワサキ「Ninja ZX-10R」
可倒式のステップ(右側)。写真はカワサキ「Ninja ZX-10R」

 また、公道を走行する市販バイクの多くは「可倒式ステップ」を装備しています。そのため、ステップ下のバンクセンサーが路面に接地すると、ステップが上方向に折り畳まれて衝撃や力を逃がすため、タイヤが路面から浮くことを防げます。

 とはいえ、ステップが折り畳まる限界まで大丈夫というワケではないので、バンクセンサーが路面に接地したら、それ以上バンクするのは止めて、車体を起こすのが賢明です。

車種によって棒の長さが異なる

 いろいろなバイクを見比べると気が付きますが、車両によってバンクセンサーの長さはけっこう異なり、とくにスーパースポーツ系は長い傾向があります。

カワサキ「Ninja ZX-10R」のバンクセンサー。かなり長い
カワサキ「Ninja ZX-10R」のバンクセンサー。かなり長い

 これはスポーツライディングに適したライディングポジションを取れるよう、ステップが高い位置に装備されていることと、コーナリング性能を追求して深いバンク角を持っていることが理由です。車体(フレーム)の幅の狭さも影響しているでしょう。

 反対に、スタンダードなネイキッドモデルやクルーザー系(いわゆるアメリカン)は、ステップ位置があまり高くないので、バンクセンサーが短い傾向があります。

 ちなみに、公道市販車でも本格的なオフロードモデルはバンクセンサーを装備していません。これは走破性を高めるために最低地上高が高く、ステップもロードスポーツ車に比べてかなり高い位置にあるため、そして舗装路で深くバンクすることもまず無いため、バンクセンサーは必要無いのでしょう。

外国車では非装備のロードスポーツも

 国産ロードスポーツ車は総じてバンクセンサーを装備していますが、外国車は非装備のモデルも少なくありません。

ドゥカティ「パニガーレV4S」のステップに、バンクセンサーは装備していない
ドゥカティ「パニガーレV4S」のステップに、バンクセンサーは装備していない

 たとえばイタリアのドゥカティは、クルーザーの「ディアベル」シリーズのみが小さな突起状のバンクセンサーを備えていますが、他のモデルは非装備です。

 ドゥカティのバイクは総じてバンク角が深く、サーキット走行なども想定しているため、スポーツ度を高める上で敢えて装備していないものだと考えられます。

アスターパーツのステップキットは、バンク角が増える……のか?

 近年はロードスポーツ車用に様々な「ライディングステップ」や、昔ながらの「バックステップ」の名称でアフターパーツが販売されていますが、これらのステップキットはバンクセンサーがついていないモノが主流です。

 そしてステップバーがノーマルより高い位置になる製品も少なくありません。そのためノーマルよりもバンク角が増えたように感じますが……それはバンクセンサーやステップが接地しないだけで、フレームやエンジンなど、車両本来のバンク角が増えたワケではありません。

 したがってバンク角を深めたらゴリっとエンジンカバーが接地してそのまま転倒……という危険もあるので、くれぐれも傾け過ぎには注意しましょう。