マニュアル車のバイクの変速方式には「ロータリー式」と「リターン式」の2種類がありますが、それぞれどのような特徴を持つのでしょうか。

主流はリターン式!ではロータリー式ならではのメリットは...?

 バイクやクルマは、大きく分けて自らクラッチの操作をするマニュアル車と、クラッチ操作が不要なオートマチック車の2種類に区別されます。

 時代の移り変わりと共にオートマチック車が主流になったクルマとは違い、バイクの場合は今でもマニュアル変速が一定の割合を占めています。

バイクのギアは、主にロータリー式とリターン式の2種類ある
バイクのギアは、主にロータリー式とリターン式の2種類ある

 スクーターのようなオートマチックのバイクの多くはVベルト無段変速機という特殊な変速機構を使用していますが、カブのように自らギアチェンジをするオートマチックのバイクや、一般的なマニュアルのバイクは、「リターン式」「ロータリー式」のどちらかの変速方式を採用しています。

 では、この2種類の変速方式はそれぞれどのような特徴を持つのでしょうか。

スポーツバイクからクルーザー、オフロードまで幅広い車種で採用されているリターン式
スポーツバイクからクルーザー、オフロードまで幅広い車種で採用されているリターン式

 この2種類のうち、主流な変速方式はリターン式。スポーツバイクからクルーザー、オフロードまで幅広い車種で採用されています。

 ペダルを下に踏みおろせばギアは3速、2速、1速というように下がっていき、反対にペダルを蹴り上げればギアは1速、2速、3速というように上がっていきます。

 また、ニュートラルの位置はやや特殊であり、1速と2速の間にあります。ニュートラルに入れる際は、1速からわずかな力でシフトアップするか、2速からわずかな力でシフトダウンする必要があります。

 海外仕様やレース用マシンなどではニュートラルが1速のさらに下にある「ボトムニュートラル」という形式のバイクがわずかに存在しますが、基本的に日本の公道で目にすることはほとんどありません。これはエンジンブレーキが必要な場面でシフトダウンを繰り返していくと、誤ってニュートラルに入れてしまう恐れがあるため。

 安全上の理由で、どのバイクでもニュートラルにはやや入りにくくなっています。そのため初心者のうちはニュートラルに入れる際の微妙な感覚が掴めず、戸惑うことも多いでしょう。

 なお、やや古くなったバイクや、まだ慣らしが終わっていない新車の場合、さらにニュートラルに入りにくくなっている場合もあり、注意が必要です。

ロータリー式はスーパーカブシリーズや一部の実用車などに採用されている
ロータリー式はスーパーカブシリーズや一部の実用車などに採用されている

 一方、ロータリー式はスーパーカブC110などに採用されている変速方式です。リターン式との最大の違いは、シフトアップ/シフトダウン時の操作。リターン式とは逆にペダルを下に踏みおろせばギアは1速、2速、3速というように上がっていきます。

 シフトダウンはリターン式のシフトアップのように蹴り上げる操作でおこなうことも可能ですが、基本的にはシーソーのようになっているシフトペダルの後ろ側を踏みおろす操作でおこないます。

 なお、ニュートラルの位置にも違いがあり、ロータリー式の場合は1速のさらに下にニュートラルがあります。

 また、「回転する」「環状の」といった意味のある「ロータリー」という名の通り、最も高いギアからさらにシフトアップの操作をした場合は一周回ってニュートラルに戻り、そこから1速、2速、3速というようにまたシフトアップの操作をすることが可能です。

 トップギアで走っていてもすぐにニュートラル、1速に戻すことができるため、街中での発進、停止の際のシフト操作が少なくなります。そのため発進、停止の機会が多い小排気量のビジネスバイクを中心に採用されてきました。

 今では走行中にトップギアからニュートラルや1速に入ってしまうことを防ぐため、走行中はリターン式、停止中はリターン式になるという仕組みの一部ロータリー式変速方式もあり、ホンダのカブシリーズなどが採用しています。

※ ※ ※

 2種類の変速方式にはそれぞれメリット・デメリットがあり、シフトアップ/シフトダウン時の操作も異なります。例えばリターン式の教習車でバイクの操作を学んだあとカブシリーズに乗るとシフトアップ/シフトダウン時の操作が真逆のため、戸惑うこともあるでしょう。

 現在、マニュアルの教習車は全てリターン式のミッションを採用しています。カブのような一部ロータリー式の変速方式を採用したバイクに乗る可能性がある人は、あらかじめ両者の違いを理解しておくことで、乗った時の戸惑いを軽減しておくとよいかもしれません。