バイクのカタログ上の燃費を見て非常に優れた数字だったのに、実際に走ってみると、思ったよりも燃費が良くなかった......という経験をしたことのある人も多いかもしれません。では、バイクのカタログ燃費と実際の燃費が異なるのはなぜなのでしょうか。

こんなに違うの...?実燃費との差は燃費計測方法に理由が!

 バイクを購入する際、排気量や価格、デザインや馬力など、気になるポイントは挙げていけばキリがありません。中でも重視されることが多いのが「燃費」。特に通勤や通学に使用するバイクを探している人にとって、燃費は非常に重要なポイントになります。

バイクを購入する際、重視されることが多いのが「燃費」です
バイクを購入する際、重視されることが多いのが「燃費」です

 例えば、1年間のうち200日、通勤のために往復で25kmの道を走る場合、総走行距離は5000kmになります。

 5000kmを燃費が20km/Lのバイクで走った場合のガソリン消費量は250L、燃費が25km/Lのバイクで走った場合のガソリン消費量は200Lと、実に50Lの差があります。

 レギュラーガソリンが1Lあたり170円と仮定すると、50Lで8500円。決して小さくはない額です。そのため、バイクのカタログにある燃費は多くの人の注目の的です。しかし多くの場合、実際の燃費とカタログに記載された燃費には、大きな違いがあります。

 もちろん、カタログに記載された燃費が、根拠のない数値であるというわけではありません。カタログには、実際に走行して測定されたデータが記載されています。

 では、なぜカタログ燃費と実燃費の間に差が生まれてしまうのでしょうか。

 カタログ燃費と実燃費の間に差が生まれてしまうのは、燃費を測定する際の走り方と、ユーザーが使用する際の走り方に差があるから。

 バイクのカタログに掲載される燃費は、大きく分けて2つの方法で計測されています。

バイクのカタログに掲載される燃費は、「定地燃費値」と「WMTCモード」の2つの方法で計測されている
バイクのカタログに掲載される燃費は、「定地燃費値」と「WMTCモード」の2つの方法で計測されている

 まず、昔から長い間採用されてきた方法で出された値は、「定地燃費値」と呼ばれるもの。定地燃費値は、平坦な直線の舗装路を60km/hで走行することで測定されます。なお、原付一種の場合は30km/hの走行での測定になります。

 バイクは発進や加速の際に大きな力を必要とし、燃料の消費が多くなります。また、渋滞等でアイドリングしたまま停車している場合は、進んでいないのに燃料を消費し続け、燃費は悪化します。

 逆に、加速や減速、停止をせず一定の速度で巡航する場合、非常に燃費が良くなることは想像に難くありません。

 つまり、定地燃費値は、ストップ&ゴーの多くなる実走行時の燃費と乖離した、かなり良好な値になります。一般的に「カタログ燃費は信用できない」と言われる場合、この定地燃費値と実際の燃費の差を指していることが多いようです。

 例えば、ホンダ「CB125R」の定地燃費値が54.0km/Lであるのに対し、インターネットサイトに投稿された実燃費の平均は約47km/Lとなっています。

ホンダ「CB125R」の定地燃費値が54.0km/Lであるのに対し、インターネットサイトに投稿された実燃費の平均は約47km/Lとなっている
ホンダ「CB125R」の定地燃費値が54.0km/Lであるのに対し、インターネットサイトに投稿された実燃費の平均は約47km/Lとなっている

 それに対し、新たに2013年7月から始まったのが、「WMTCモード」と呼ばれる方法で測定した燃費です。試験方法は世界統一基準に基づいており、気温は25℃、1名乗車の状態でシャーシダイナモ上で測定されます。

 WMTCモード試験は排気量や最高速度によって5つのクラスに分類されており、それぞれ実際の走行を想定した走行モードが細かく定められています。この走行モードは発進、加速、停止を含んでおり、測定された値は、定地燃費値と比べ、実際の燃費に近づいています。

 同じようにCB125Rの例で見てみると、WMTCモードで測定された値は46.8km/Lと、実燃費とほとんど変わらない数値となっています。

 もちろん、信号の多さや渋滞の程度、アクセルの開け方や変速タイミング等、さまざまな要素が絡み合って実際の燃費は変動します。そのためWMTCモードで測定された燃費と実燃費が完全に一致するとは限りません。

 ただし、日本を含む世界各国での走行事情をもとに走行モードが定められているため、定地燃費値と比べると、信頼の置きやすい値であることは間違いないでしょう。

※ ※ ※

 バイクのカタログ燃費が信用できないと言われがちなのは、計測時の走り方とユーザーが使用する際の走り方に違いがあるからでした。カタログに表記される燃費は、定地燃費値とWMTCモード値の2種類であり、それぞれ計測方法が異なります。

 定地燃費値は実燃費との乖離が大きいことを頭に留めておく必要があります。一方、WMTCモード値は実際の燃費に近い値になっているため、参考にしやすいと言えるでしょう。