コンビニエンスストアのレジ横にある「おでん」の展開店舗が激減しているという。煩雑なオペレーションが従業員の負担になっており、すでにファミリーマートを中心とする大手コンビニでは、おでんの販売を中止している。

 おでん消滅に向かう原因が売り上げの低下などではなく、従業員の手が回らないことにあるのなら、今後はおでん以外にも消えていく商品やサービスがあるのではないか。そこで、コンビニ店員が抱えている現状や「コンビニで次に消えるもの」を『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)の著者で流通アナリストの渡辺広明氏に聞いた。

とにかく手間がかかるコンビニおでんの販売

 この時期、コンビニのレジ横で温かそうな湯気を立てているおでんを楽しみにしている人も多いだろう。1970年代から販売されているという「コンビニおでん」だが、最近は販売をやめる店舗が増えている。

 コンビニおでんの販売中止や縮小の理由のひとつは、人手不足による管理の難しさだ。具材ごとに調理オペレーションが違う上に在庫管理も難しく、つゆが足りなくならないように注ぎ足したり、温度管理も必要になったりするなど、何かと手がかかるのだ。さらに、注文時には店によっては店員がおでんを取り分けたり、会計時には間違えないように具材をよく確認してレジ打ちしたりする必要があるなど、とにかくやることが多い。

 もうひとつの理由は、廃棄ロスの問題である。おでんは具材を陳列する鍋がスカスカの状態では売れないため、鍋いっぱいに敷き詰めておかないといけない。さらに、売れる具材だけを入れておけばいいというものでもないので、どうしても売れ残ってしまう具材も多い。一言で言えば、おでんは売る側にとって割に合わない商品なのだ。渡辺氏は、以下のように指摘する。

「最近のコンビニは『全国一律で同じサービスを行う』という考えからの脱却がテーマとなっています。おでんはもともと店舗立地特性によって売り上げが左右される食べ物で、店ごとに売り上げの差が大きい。ほとんど売れない店もあれば、従業員が多くやる気のある店は1日1000個売ることもあります。売り場のスペースも従業員のキャパも限られているコンビニでは、儲からない商品は早めに見切りをつけるべきです」(渡辺氏)

 そう考えると、定番だった商品も、これからは時代や店舗状況に応じて消えていかざるを得ないのかもしれない。

缶コーヒーと常温の弁当が消える理由

 昨今の売り上げ低迷もあり、コンビニでは雑誌や新聞の棚はどんどん縮小している。特にアダルト雑誌は、東京オリンピックに向けての健全化という理由もあり、2019年8月で大手コンビニ3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)の店舗から消えた。それでは、次にコンビニから消える可能性がある商品はなんだろうか。

「缶コーヒーは少なくなっていくでしょうね。すでにレジ横のコーヒーマシンとペットボトルコーヒーに売り上げと需要が食われており、店舗では品出しの数も大きく減ったようです」(同)

 さらに、渡辺氏はコンビニの定番である弁当もなくなると話す。

「コンビニ弁当のなかでも消滅の可能性が高いのは常温の弁当です。コンビニには18℃で管理する常温弁当と5℃で管理するチルド弁当があります。おにぎりの下に並ぶ幕の内弁当などが常温弁当ですが、このタイプは日持ちしないため廃棄が多く、赤字になりやすい。一方で、チルド弁当は2〜4日ほど販売できるので、コンビニ弁当は徐々にチルド化していくでしょう」(同)

いずれはコンビニ店員も消滅する?

 渡辺氏は、商品以外の従業員のサービスに関して「煩雑なオペレーションが消えていく」と言う。

「ヤマト運輸が始めた、スマホで送り状の作成と決済などもできるサービスによって、宅急便の受付業務の手間が大幅に減ると思われます。このように、コンビニが行っていたさまざまなサービスがアプリによって簡略化していくでしょう」(同)

 消費者としても、事前にスマホ上で手続きを済ませ、荷物をコンビニに持っていくだけというのは非常にありがたい。ただ、このシステムがさらに進んでいくと、将来的にはコンビニに「接客」が少なくなると渡辺氏は話す。

「ローソンではセルフレジが1万店以上に導入され、JR武蔵境駅のニューデイズは19年7月に完全無人化しています。将来的には、レジを打つ店員の作業が、セルフガソリンスタンドのように減っていくでしょう」(同)

 24時間営業で「ないものはない」状態だったコンビニも、大きな転換期を迎えている。徹底的な簡略化の行き着く先に現れるのは、いったいどんなコンビニの姿なのだろうか。

(文=沼澤典史/清談社)