日産自動車は「事業構造改革計画」を策定したが、経営を再建させようという内田誠社長ら経営陣の熱意が感じられない。年間720万台という生産能力を540万台に削減し、車種を69から55以下に減らす。

 2020年3月期の世界販売台数は493万台にとどまった。昨年発表した中期経営計画では22年度(23年3月期)の販売目標を600万台としたが、この計画も撤回した。日産の再建計画に真剣味が感じられないのは、人員削減の規模を明らかにしていないからだ。

「労働組合、政府機関との協議が必要で、具体的な人数の回答は控える」(内田社長)

 日産は19年7月に1万2500人削減に言及しているが、この数字をどれだけ上積みするかでしか、経営陣の覚悟のほどは示せない。人員の削減には会社に対する従業員の信頼が必要になるが、日産の経営陣に対する従業員の信頼はゼロに等しい。ルノーのトップの顔色ばかり見ている日産のトップに再建を託す気になれないのだ。

「内田社長交代説」が社内外に根強く流れているのは、「内田は戦時の経営者ではない。平時ですら、社長の器ではない」(日産の有力OB)との危惧があるからだ。ロイターは17日、「最高執行責任者(COO)のアシュワニ・グプタ氏を内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)と並ぶ『共同CEO』に昇格させようという動きが強まっている。構造改革を確実に実行するには内田社長のリーダーシップでは不十分で、計画の中心人物であるグプタ氏の権限強化が必要というのが理由だ」と報じた。日産の最高意思決定機関であるエグゼクティブ・コミッティ(EC)内でもグプタ昇格論が広がっているという。

 ルノー側ではなく日産側がグプタ氏の共同CEO昇格を考えているようだ。「ルノーの操り人形」(日産関係者)といわれている内田社長下の現体制でいいとするルノー側は、すぐには共同CEOには賛同しないだろう。しかし、構造改革が進まず、赤字がさらに滞積すれば、内田続投などといっていられなくなる。ロイターは「今後の議論によっては、内田氏が会長となり、グプタ氏が単独のCEOに就任する可能性も『ゼロではない』(関係者)」と、かなり踏み込んで報じている。内田氏棚上げ論である。

 ルノーのスナール会長の意向が最優先される今の日産にあって、「グプタ共同CEO」がすぐに実現するかは不明だが、それでも「内田社長では無理」との声が強まるのは間違いない。

(文=編集部)