不動産大手5社の2020年4〜9月期連結決算は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、業績の明暗がはっきりと分かれた。三菱地所、野村不動産ホールディングス(HD)の2社は本業の儲けを示す営業利益が増えた。一方、三井不動産や住友不動産、東急不動産ホールディングスは減益だった。各社ともマンションやオフィス事業は堅調だったが、商業施設やホテル事業が低迷した。

【不動産5社の20年4〜9月期決算】

         売上高(前年同期比%)     営業利益(同)

三井不動産     7974億円(▲10.3%)   641億円(▲45.9%)

三菱地所      5273億円(▲1.5%)    980億円(6.3%)

住友不動産     5151億円(▲11.1%)   1328億円(▲3.4%)

東急不動産HD   3838億円(▲6.9%)    169億円(▲46.4%)

野村不動産HD   2239億円(▲9.3%)    241億円(11.5%)

(三菱地所は売上高を営業収益で表示、HDはホールディングスの略、▲はマイナス)

三井不動産はホテルやモールが低迷

 業界最大手の三井不動産はコロナ禍の影響で、ホテルや商業施設が低迷した。緊急事態宣言後の4月から5月にかけて半分以上のホテルが営業を休止し、訪日外国人観光客が急減した結果、ホテルなどを中心とするセグメントの営業赤字は前年同期の15.6倍の182億円に膨らんだ。貸し駐車場「三井のリパーク」などを含むマネジメント事業の営業利益は同60%減の116億円に落ち込んだ。

 コロナ前は賃貸収入の約4割が「ららぽーと」など商業施設によるものだったが、コロナ禍で休館したことが重荷となった。オフィスビルの賃貸料収入は2%増、国内の住宅分譲事業は8%の増収となったが、落ち込みを補いきれなかった。

 純利益は86.4%減の90億円。保有資産を圧縮する方針で、新宿三井ビルディング(東京・新宿区)の売却を決め、328億円の特別損失を計上したことが響いた。21年3月期通期は売上高が前期比2%増の1兆9500億円、営業利益は29%減の2000億円を予想している。売上高トップの座を堅持する。

 三井不動産はホテル事業を拡大している。11月3日、同社ブランド初の高級ホテル「ホテル・ザ・三井 京都」を京都市内で開業した。二条城に近く、250年以上にわたり三井総領家(北家)の邸宅があった三井家ゆかりの地にオープンした。

 リゾートホテルを除き、運営するホテルの客室数は大手不動産会社で初めて1万室を達成した。ホテル事業を手掛ける三菱地所と住友不動産は、それぞれ3604室と3511室。三井不はライバルに大差をつけた。

三菱地所と野村不動産HDは営業増益

「丸の内の大家さん」と呼ばれる三菱地所は丸の内を中心にオフィスビルが堅調だった。9月のオフィスビルの平均賃料は1坪(3.3平方メートル)あたり2万7724円と3月から2%上昇。前期に稼働したオフィスビルも寄与した。東京のオフィスビルの賃料収入は1925億円と5%増えた。

 ホテルや商業施設「プレミアム・アウトレット」は苦戦したが、マンション事業の利益率は改善した。国内のマンション分譲は好採算の物件があり、粗利益率が19.5%へと2.5ポイント上昇した。21年3月期通期決算は売上高にあたる営業収益が前期比12%減の1兆1420億円、営業利益は21%減の1910億円を見込む。通期では減収、営業減益となる。

 野村不動産HDは主力の分譲マンションの販売が底堅かった。商業施設の賃貸収入の減少を補い営業増益となった。フィットネスジムなどの休業で17億円の特別損失を計上した。21年3月期通期の売上高は前期比11%減の6000億円、営業利益は25%減の610億円の見込み。

住友不動産と東急不動産HDは営業減益

 住友不動産は連結営業利益は減益になったものの、絶対額は大手5社のなかで最も大きかった。オフィスビルの賃貸事業は好調。東京都千代田区に開業したビルが5月に満室になった。21年3月期に販売を予定する分譲マンションの戸数が前年実績から2割減ることから減収になった。

 ライバルに比べてホテルや商業施設事業が売り上げに占める比率が低く、コロナによる傷は浅かった。大規模商業施設は6月に開業した「ショッピングシティ 有明ガーデン」が初めて。11月には東京・虎ノ門の日本たばこ産業(JT)の旧本社ビルを数百億円で購入するなど、オフィスビル事業で積極投資を続けている。

 21年3月期通期は売上高が前期比11%減の9000億円、営業利益は9%減の2130億円の見込み。営業利益は大手5社のトップである。

 東急不動産HDは新型コロナウイルス感染拡大でホテル「東急ステイ」や生活雑貨店「東急ハンズ」などの売り上げが落ち込んだ。そのため21年3月期通期の連結決算を下方修正した。売上高は前期比7%減の8950億円、営業利益は44%減の440億円となる見通し。従来予想はそれぞれ9300億円と500億円だった。

 事業別ではホテルなどウェルネス事業が125億円の営業赤字(従来予想は15億円の赤字)、ハンズ事業が35億円の赤字(同15億円の赤字)へと悪化する。訪日外国人の減少や外出・出張の自粛などが重なりウェルネス事業の業績の回復のテンポは遅い。12月に劣後債を発行し、約1000億円の資金を調達。“有事”に備える。

(文=編集部)