経営再建中の賃貸アパート大手のレオパレス21は、施工不良物件の改修工事の完了を2024年末に先送りした。大きな不備があり改修工事が必要な施行不良物件は全国に約20万戸あり、このうち約4万戸の改修を終えている。

 21年1月以降の改修工事計画によると、6月までに6000戸程度行う。7月以降は入居者の退去状況を見ながら施工不良物件の改修工事を進め、24年末までにすべて完了させるとしている。

 これからは需要が見込める首都圏や地方の都市部の物件の改修を優先的に実施。全国一律体制を変える。春の住み替えシーズンをにらみ、入居者の確保がしやすい物件の改修を急ぎ、収入増につなげる考えだ。入居率の低下が続くなか、予定通り改修を実行できるかが課題だ。

入居率は採算分岐点の8割を割り込む

 レオパレスなど賃貸アパート各社は、郊外などの地主(オーナー)らに、相続税が軽減される点をセールストークにして、アパート経営を提案。地主が銀行から融資を受けて物件を建て、長期間、月一定の家賃を保証するサブリースの仕組みをとる。

 アパート所有者から一括で借り上げ、企業や個人へ転貸している。空室があっても所有者に家賃を支払う必要があり、入居率の低下は業績悪化に直結する。レオパレス21の場合、施工不良が発覚する前の18年5月までは、入居率は90%を超えていた。だが、改修作業の遅れがたたり、入居率を回復できていない。これに新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけた。景気悪化で社員寮として使う企業からキャンセルが出た。

 入居率が急落して以降、レオパレスの頼みの綱は外国人入居者だった。外国人の入居者は20年3月末で2万3000人と、この5年間で1万人近く増加した。個人契約に占める外国人の比率は1割を超えた。しかし、新型コロナウイルスのまん延で外国人留学生の入国がストップ。その影響を受けて20年5月以降、入居率は損益分岐点の80%を割り込んだままだ。

 21年1月末時点で物件オーナーから委託を受けている賃貸アパートの管理戸数は57万4068戸。このうち契約済戸数は44万8677戸。残り12万5391戸が空き室になっている。管理戸数に占める契約済戸数の割合が入居率になる。現時点の入居率は78.16%だ。

 つまり、入居者から受け取る賃料より、物件オーナーに支払う金額が大きい“逆ざや”の状態に陥っていて危機的な状態だという指摘もある。そのため、現状の保証水準の維持が難しくなり、オーナーに保証している賃料の見直し交渉に入った。21年春以後に更新時期を迎える物件について減額要請をする方針だ。

 レオパレスが賃貸アパートを借り上げているオーナーは約2万8000人。家賃保証の減額や、地域によって改修の優先順位に差をつけることが反発を招く可能性がある。関係者によると、「一括借り上げの維持を望むオーナーが多く、賃料の減額を受け入れる方向にある」という。オーナーにとって一括借り上げによる家賃保証のメリットが、かなり大きいからだ。

フォートレスが救済に乗り出す

 20年9月28日、レオパレスは「20年6月末時点で118億円の債務超過になった」と発表した。18年5月に施行不良が発覚した時点では35%を超える高い自己資本比率を誇り、事業継続になんら支障はなかった。それが、わずか2年後に債務超過に転落したのは、衝撃的な事実であった。

 21年3月期末時点で債務超過が続けば東証1部から2部に降格になり、1年後に解消できないと上場廃止となる。このままの状態で推移すれば経営破綻しかねない、瀬戸際に追い込まれた。

 債務超過を発表した2日後の9月30日、ソフトバンクグループ(SBG)系の不動産ファンド、米フォートレス・インベストメント・グループがレオパレスの救済に乗りだした。レオパレスはフォートレスを引受先に、普通株式で122億円の第三者割当増資を実施するとともに、同ファンドから新株予約権が付いた300億円を借り入れる。さらに、連結子会社のレオパレス・パワーがフォートレスを引受先に優先株で150億円の第三者割当増資を行う。 実施後はフォートレス系企業がレオパレス株の25.71%を持つ筆頭株主になる。

 レオパレスの20年4〜9月期連結決算は売上高が前年同期比6%減の2086億円、最終損益が175億円の赤字(前年同期は244億円の赤字)だった。同年9月末時点で債務超過は171億円に膨れ上がったが、11月2日付でフォートレスから272億円の出資を受け、債務超過を脱した。300億円の融資を原資に施工不良物件の改修費用を調達した。

 21年3月期の連結決算の売上高は前期比0.6%減の4311億円、営業損益は98億円の赤字、最終損益は80億円の赤字の見込みだったが、2月12日、業績を下方修正した。最終損益の赤字は80億円から444億円に拡大。売上高は4311億円から4089億円に引き下げた。目先の資金繰り懸念は和らいだとはいえ、再生のメドはまったく立っておらず、不透明な状況が続く。

 2月12日に発表した20年4〜12月期の連結売上高は前年同期比6%減の3083億円。サブリース物件の入居率は20年12月に過去最低の77.07%となった。業績の回復がはかばかしくないことから、22年3月まで役員報酬を削減する。宮尾文也社長は60%削減することを明らかにした。

 不動産の専門家は、「フォートレスは不動産ファンドであって事業会社ではない。真の経営の再生は事業会社に任せるしかない」と見ている。

インドのOYOが“受け皿”として浮上

 SBGは19年から、水面下でレオパレスの買収に動いていた。フォートレスとは別でインドの格安ホテルチェーン、OYO(オヨ)を通じての買収だったという。OYOは19年、SBGの通信子会社ソフトバンクと日本でホテル事業会社を、SBG傘下のZホールディングス(ZHD、旧ヤフー)と不動産賃貸会社を立ち上げた。賃貸会社の強化のために「SBGはレオパレスの買収を計画した」(不動産業界筋)。

 この計画は出足から躓いた。契約をめぐる苦情が寄せられ、ZHDは19年11月、合弁を解消した。これでOYOを通じてのレオパレス買収話は立ち消えになったとみられていた。この間、OYOは日本で立ち上げた法人2社がうまくいかず、ホテル事業会社と不動産賃貸会社を統合した。ホテルは200軒以上をオペレーションしており、部屋数は約6000室、不動産賃貸は約4000室を取り扱う。

 OYO本体に投資ファンドを通じて出資しているSBGは2社の統合後も、OYO本体の経営を支援する方針だ。レオパレスの買収は仕切り直しとなった。OYOにとって、57万戸の管理戸数があるレオパレスは魅力的存在だ。SBG系のフォートレスがレオパレスの再生のメドをつけた暁に、OYOに譲渡するシナリオが取沙汰されている。

(文=編集部)