三菱商事の株価が10月18日、3758円へと上伸。年初来高値を10月13日に続き、更新した。三菱商事は米アマゾン・ドット・コムと組んで太陽光発電による再生可能エネルギーの調達網を構築すると発表。カナダで燃料用アンモニアの生産に関して英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと提携することで合意した。

 9月中旬には3660円をつけ、2018年10月5日の高値(3638円)を抜いた。「脱炭素関連銘柄の主役」(外資系証券会社のアナリスト)に躍り出たことで、株価上昇に弾みがついた格好だ。

 10月18日には「2030年度までに脱炭素関連で2兆円を投資する」と発表した。脱炭素投資は22年度から30年度の9年間で、年平均2000億円になる。化石燃料からの転換を急ぎ、50年までに温暖化ガス排出を実質ゼロとする目標も決めた。脱炭素とエネルギーの安定供給の両立を目指す。

 伊藤忠商事の株価が終値で三菱商事を抜き去ったのは20年6月22日。それ以降、21年8月26日に再逆転を許すまで三菱商事に抜かれたことはなかった。岡藤正広会長CEOは「利益、株価、株式時価総額の三冠を達成した」と豪語してきたが、三菱商事の逆襲が始まった。

「広州の皇帝」の異名をとる許家印氏が一代で築いた中国第2の不動産開発企業、中国恒大集団の経営危機で、「中国版リーマンショックが到来するかもしれない」との懸念から、世界的株安を招いた。中国関連の印象が強い伊藤忠の株価は下げ、三菱商事、伊藤忠の株価の差は150円以上、開いた。10月13日には終値での差が425円まで拡大した。10月18日の両社の株価の差は390円だった。

 三菱商事が年初来高値を連発しているのに対して、伊藤忠のそれは4月1日の3656円。直近の株価は高値から300円前後、安い水準で推移している。勢いを増している三菱商事の株価と好対照を描く。大手商社の業績は資源高を追い風に過去最高水準で推移している。21年4〜6月期の連結最終利益は、伊藤忠、三井物産、丸紅、住友商事の4社が四半期ベースで最高を更新した。

 なかでも三井物産は22年3月期(通期)の最終利益を期初予想の4600億円から6400億円に大幅に上方修正した。6000億円を突破すれば商社業界で初めてとなる。これまでの最高は三菱商事が19年3月期に叩き出した5907億円だった。

 伊藤忠は5500億円と期初予想を据え置いたが、6000億円の大台が射程圏内。伊藤忠は三井物産のように4〜6月の第1四半期決算で、通期の利益を上方修正できなかった。

「単純な資源高に伴う増額ではないので全分野の積み上げ分の精査が必要になる。だから、第1四半期の決算発表では、鉢村剛副社長CFOが上方修正を示唆するのにとどめざるを得なかった。物産の場合は、すべて資源価格の上昇分で鉄鉱石、原油、LNG(液化天然ガス)の価格が決まれば、自動的に上方修正額が決まる。決算発表で物産に後れを取ったわけではない」(伊藤忠幹部同)

 三菱商事は3800億円と通期予想を据え置いたが、QUICKコンセンサスは5291億円。大手証券の商社担当アナリストは6800億円と過去最高益更新を予想している。このアナリストは三井物産7100億円(会社が上方修正した数字を700億円上回る)、伊藤忠は6970億円と想定している。

 三井物産、伊藤忠、三菱商事が三つ巴で6000億円の大台で最終利益を競い合うという構図が予想される。商社リーグの利益のトップ争いは熱を帯びてきた。伊藤忠の利益トップが21年3月期の“三日天下”に終わるのか、資源以外の分野で三菱商事、三井物産をリードしている総合力を生かして利益首位を死守するのか。これが最大の見所になる。

(文=編集部)