民間企業の実力を測る目安としてよく知られているものに上場・非上場がある。実際、市場で株式を公開しているか否かでは、さまざまな面で大きな差が出る。

 上場企業の最大のメリットは、非上場企業と比較して知名度が格段に上がることであろう。それもそのはず、株式市場が開いている限り、主だった新聞や経済関連のニュースサイトは連日、対価なしで社名と株価を掲載してくれる。広告費に換算すれば莫大な金額になるはずだ。知名度はもとより消費者や取引先からの信用、イメージの面でも得られるものは大きい。資金調達に関しても公開された株式は活用できるから、非上場企業と比較して優位に立てる。

 今年4月に実施された上場企業の区分見直しで、旧東証1部にあたるプライム市場に留まろうと、ボーダーライン上にあった企業がスラップスティックめいた動きを見せたのも、代えがたい冠を手放すまいとしたためであろう。

 もっとも上には上がある。上場企業の選抜組としてよく知られているのは、代表的な指標になっている日経225採用銘柄だが、関係者から上場企業の精選版と目されているのはTOPIX100構成銘柄である。

「顧客に個別銘柄を紹介する際の基本になる。投資で一番怖いのは、やはり保有銘柄の倒産や暴落ですから」(証券営業マン)

 時価総額や株式の売買数量によって定められる100銘柄に採用されているのは、メガバンク、4大商社、大手通信をはじめ、トヨタ自動車、日立製作所、ソニーなど、国内の各業種を代表する超有名企業ばかりである。必ずしもリターンは保証できないものの、ローリスクな投資対象であることは間違いあるまい。

14校の占有率は81%

 幅広く認知されている企業格付けは、投資ばかりではなく人生を選ぶ作業である就活においても重みを持つのだろう。TOPIX100構成銘柄と、新卒者が就職したい企業のランキング上位企業は、ほぼ重複している。

 ただ一方で十分に留意、認識しなければならないのは、格付け最高位の企業、いわゆる別格の組織ならではのシビアな現実だ。構成銘柄の役員で学歴(出身校)を開示しているのは832人だが、うち10人以上の出身者を送っている大学(院を含む)は、東京大学をはじめ旧帝大、早慶一工(早稲田大学・慶應義塾大学・一橋大学・東京工業大学)など14校にすぎない。

 特筆すべきなのはその占有率で、81%になる。これに3人以上の出身役員がいる大阪市立大学、明治大学(いずれも9人)など18校を加えると9割(92%)にも達する。要するに自他ともに認めるトップクラス企業の経営陣は、選ばれし大学出身者による寡占状態なのだ。全体の1割ほどある役員の学歴を非開示にしている企業を加えても、その比率はほとんど変わらない。独自に調査した結果では、占有率はさらに上がる可能性さえある。

 想起するのは大手企業で長く採用を担当していたOBの次の言葉だ。

「新卒の採用について学歴フィルター、大学名差別などの批判はあるが、ゴールを考えるのならば、入り口でハードルを上げてしまうほうが、むしろ親切なのではないか」

TOPIX100構成企業役員の出身大学(10人以上の大学を抜粋)

※以下、データは「役員四季報2022年版」(東洋経済新報社)より抜粋

 東京大学(国立)222人/慶應義塾大学(私立)102人/京都大学(国立)73人/早稲田大学(私立)72人/一橋大学(国立)65人/大阪大学(国立)30人/中央大学(私立)23人/名古屋大学(国立)15人/東北大学(国立)・同志社大学(私立)各14人/関西学院大学(私立)・神戸大学(国立)・九州大学(国立)各12人/東京工業大学(国立)11人

(文=島野清志/評論家)