かっぱ寿司の「かっぱ」が絶滅した――。

 かっぱ寿司といえば、頭に皿を乗せた全身緑色の「かっぱ」がトレードマークだった。その「かっぱ」が消費者に「安っぽい」という印象を与えていると考え、昨年の10月から「かっぱ」のロゴを外し、皿を数枚重ねた図柄のロゴに差し替えた。そして6月2日、運営会社のカッパ・クリエイトは「かっぱ寿司」の全国330店の看板を新しいロゴに刷新したと発表した。

 カッパ・クリエイトの業績は深刻な状況だ。2017年3月期の売上高は前年比1.1%減の794億円、最終的な儲けを示す純損益は58億円の赤字(前年同期は52億円の黒字)だ。売上高は4期連続の減収で、13年2月期の941億円からは147億円(15.6%)減少している。

 売上高以上に危ないのが純損益だ。13年2月期からは3期連続で最終赤字に陥り、16年3月期は黒字だったものの、17年3月期にまた赤字に転落した。

 特に17年3月期の業績悪化は深刻だ。というのも、本業の儲けを示す営業損益の段階で5億円の赤字だからだ。純損益の場合、例えば地震などの災害で被害を被った店舗を復旧させるために臨時的に発生した経費なども含めて算出する。一方、営業損益は営業活動から生み出される利益・損失のみを表す。臨時的に発生した経費や利益は含まれない。そのため回転寿司店でいえば、寿司を売って儲かったか儲からなかったかだけを示すことになる。

 この10年間でいえば、営業損益で赤字になったのは17年3月期と14年2月期の2期だけだ。14年2月期は18億円の営業赤字となったが、これは平日に1皿88円で販売したことが大きく影響したためだ。この低価格販売により原価率が上昇したことで利益を圧迫し、そして世間に「安っぽい」という印象を定着させてしまった。

 その後は、値引きなどの価格面の訴求から商品品質の訴求に重心をシフトさせたため、売上高は減少したものの営業赤字は回避することができていた。しかし、「安っぽい」という印象を覆すには至らずにいる。

 それが、今回の決算では5億円の営業赤字となったのだ。売上高は前年と比べて減少したとはいえ、「微減」で済んでいる。問題は、売上原価(食材費など)の上昇を起因とした売上原価率の大幅上昇にある。売上原価率は前年比4.9ポイント増の49.2%にまで上昇した。88円販売で売上原価率が上昇した14年2月期の46.6%よりも2.6ポイントも高い。カッパ・クリエイトの原価率は起伏が激しいことも特徴的だ。

●かっぱ寿司は廃棄ロスが多すぎ?

 回転寿司店の原価は為替の影響を強く受けるため、期間での単純比較はできないが、それでも49.2%という数値は同社においては異常に高いといえる。競合の「くら寿司」を運営するくらコーポレーションの16年10月期は45.9%で、カッパ・クリエイトは3.3ポイントも高い。

 カッパ・クリエイトは、商品廃棄ロスが増えたことにより売上原価が上昇し、利益が減少したとしている。くらコーポレーションの売上原価率は近年安定していることから、為替や魚価の売上原価に対する影響は限定的と考えられる。そうなると、カッパ・クリエイトの売上原価の上昇は商品廃棄ロスが大きな割合を占めている可能性がある。

 回転寿司店の場合、レーンの上を回る寿司は一定時間が過ぎると鮮度が落ちるため、店員がネタの状態を見て廃棄する。近年はレーン上の寿司を取らずにタッチパネルなどで好みの寿司を直接注文する客が増えているが、それでもレーンには一定量の寿司を流す必要があるので、廃棄ロスの問題は回転寿司店にとって悩ましい問題だ。

 仮に、かっぱ寿司の廃棄ロスが多いとすれば、客の入りや状況を適切に把握できていないと考えられる。例えば、客が少なくても惰性的に寿司を握って流したり、子供が多い状況にもかかわらず大人が好むものばかりを流すといったことを行っていないだろうか。

 競合で業界最大手のスシローは、廃棄ロスを減らすためにITとビッグデータを活用して、必要最低限度の寿司だけを提供しているという。皿にICチップを取り付け、売れ筋をリアルタイムで把握して需要予測を行い、店員の判断も付け加えている。

 一方、かっぱ寿司は、すべて注文を受けてからつくって提供するタイプの店舗を増やすことで廃棄ロスを減らそうとしている。そうすれば、確かに廃棄ロスは減るだろう。ただ、それ以外の店では依然、店員の判断による廃棄ロスの低減作業は欠かせない。つまり、店員のスキルを上げていく必要があるといえる。

もちろん廃棄ロス以外の問題も解決していかなければならない。「安っぽい」というイメージの払拭が急務だ。それには、商品とサービスの質を向上させなければならない。ロゴの刷新といった小手先の変更だけではおぼつかないのではないだろうか。

かっぱ寿司は6月13日から7月14日まで、平日の14〜17時に期間限定で食べ放題を実施している。わずか3時間の実施時間にもかかわらず、一部の店舗では10時間を超える待ち時間が発生するなど話題を呼んでいる。大人の男性で1580円(税抜き)と決して安くはないが、大食漢の人には嬉しいサービスだろう。世間の耳目を集めている今、さらに次の施策を打ち出して客を呼び込むことができるのか、しばらく注目したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)