日本初のラジオカセットレコーダー(ラジカセ)など、オーディオ機器で知名度が高かった「Aiwa(アイワ)」ブランドが復活する。

 アイワブランドはソニーの傘下に入り、ソニーのオーディオ機器として展開していたが、2008年に生産を終了した。

 それが今年2月、ソニーは小型ラジオの製造委託先である十和田オーディオにアイワブランドの使用権を譲渡。十和田オーディオは4月に新会社のアイワを設立し、9月に4Kテレビや携帯音楽プレーヤーを売り出す。製造はオーディオ機器の受託製造を手掛ける中国の協力工場が行い、家電量販店の角田無線電機が販売代理店となる。

 4Kテレビは24〜55型の5機種で、音質を重視して全モデルにフロントスピーカーを搭載する。55型テレビは税別13万8000円を想定し、発売後1年間で5万台の販売を目指す。白物家電への参入も計画しており、21年3月期に国内売り上げ100億円を目指すとしている。

 十和田オーディオはEMS(電子機器の受託製造サービス)の十和田エレクトロニクスを中核とする十和田グループの1社。1961年、秋田県小坂町の誘致でソニーの協力工場として設立された。93年に海外に進出し、現在は中国・深センなどでオーディオ機器の受託製造を手掛ける。受注しているのはブルー・レイ、テレビ、携帯用チューナー、防災用ポータブルラジオ、カメラ、ACアダプターなど。企業規模は違うが、シャープを買収した台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)と同じEMS企業だ。

 旧アイワは51年の設立で、69年にソニーのグループ会社となった。80〜90年代にはヘッドホンステレオやミニコンポなどがヒットし、世界的なブランドとなった。アイワ版「ウォークマン」である「カセットボーイ」は、ソニー製品に憧れつつも高くて買えない学生に絶大な人気を博した。エジプトではソニーよりアイワのほうが知名度は高く、ヘッドホンステレオは中国でも人気商品だった。

 しかし、デジタル化・IT化の流れが急速に押し寄せ、アナログ主体だったアイワは単独での生き残り策を描ききれなかった。02年に親会社のソニーに吸収合併され、アイワはソニーの1ブランドとなり、08年に生産を終了した。

 それが15年、日本に先がけ米国でアイワブランドが復活した。今秋には国内でも同ブランドが蘇生する。果たして、80〜90年代のアイワブランドの輝きを取り戻すことができるのだろうか。

●アナログレコード市場はどん底期の7.8倍に拡大

 最近、AV(音響・映像)ブランドの復活が相次いでいる。パナソニックは14年に高級オーディオブランド「テクニクス」を復活。16年夏にはインドで「SANYO」ブランドを復活させた。インドでは白物家電の販売実績があり、SANYOの認知度が高いことから復活させることにしたという。JVCケンウッドは、往年の人気ブランド「ビクター」を今年6月に復活させた。

 音響ブランドが相次ぎ復活したのは、若者層を中心にレコードやカセットテープなどの人気が再燃してきたことと無関係ではない。

 日本レコード協会の統計によると、アナログレコードのここ10年間の市場規模は、生産数量は09年の10万2000枚、生産額は10年の1億7000万円がボトムだった。それが14年から急激に増え、16年の生産数量は79万9000枚、生産額は14億5000万円と、どん底の時に比べてそれぞれ7.8倍、8.5倍に伸びた。

 それを受けて、ソニーとパナソニックがそれぞれアナログレコードプレーヤーを発売した。音響ブランドの復活は、アナログレコードの人気にあやかろうとする動きだ。

 オジサン世代の人気ブランドが、若い世代に受け入れられ定着するか、けだし見ものである。
(文=編集部)