DVDレンタルや書籍販売のTSUTAYA(ツタヤ)が展開する動画配信サービス「TSUTAYA TV」で、全作品を見放題であるかのように宣伝したのは虚偽であり、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして消費者庁は2月22日、ツタヤに課徴金1億1753万円の納付命令を出した。

 同庁表示対策課によると、ツタヤは2016〜18年、ホームページや動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で、「動画見放題」「動画見放題&レンタル8」「TSUTAYA プレミアム」の3つのプランについて、すべての作品が見放題であるかのように宣伝した。しかし、実際に見放題なのは全作品のうち最大で27%で、新作は月平均2本しか見ることができなかった。

 消費者庁は18年5月、再発防止を求める措置命令を出した。16年4月〜18年5月、映画など約3万2000作品を配信し、動画見放題をうたっていたが、見放題なのは最大で約8000作品だけ。「人気ランキング」で1〜10位を占めた全作品、新作や準新作の9割超が対象外となっていた。

 課徴金の額は、ツタヤが違法表示を対外的に認めるまでの売り上げの3%と規定されている。この期間の「TSUTAYA TV」の売り上げは約39億円だった。

 ツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、「見放題」を導入したのは15年8月31日。映画やドラマ約5万本を配信する「TSUTAYA TV」は月20本の視聴が上限だったが、「見放題」で月額933円(税別、新作2本まで)のプランを開始した。宅配レンタルと組み合わせたプラン(2417円)では、配信に対応していない作品を含め約30万本を利用できる。

 世界で6500万人が利用する米ネットフリックスが15年9月に日本に上陸したことをツタヤは強く意識したようだ。ネットフリックスはフジテレビと提携してオリジナル作品を配信している。

 ネット通販の米アマゾン・ドット・コムも、同年9月から有料会員向けに追加料金なしの動画見放題の提供を始め、有料会員向けサービス「Amazonプライムビデオ」が動画配信サービスで首位を走る。

 ネット広告代理大手のサイバーエージェントは、16年4月からテレビ朝日と提携してネット動画配信「AbemaTV(アベマTV)」を始めた。17年にはスポーツ配信に特化した英パフォームグループが運営する「DAZN(ダゾーン)」がJリーグの放映権を獲得した。

 動画配信は“戦国時代”に突入したが、そのなかで日本勢は大苦戦している。

●「動画見放題」に見直し論が台頭

 総務省の有識者会議がまとめた中間報告書で、「ゼロ・レーティング」と呼ばれる仕組みの問題点が指摘された。

 ゼロ・レーティングとは、特定のサイトのアプリを利用した際に、一定量以上は通信料金にカウントしないサービス。

 携帯電話大手のソフトバンクは、18年9月からユーチューブなどを使い放題とする料金プランを導入した。格安スマホ会社のLINEモバイルなども採用している。だが、ゼロ・レーティングの対象外となったサービス事業者は市場から閉め出され、公正な競争環境が確保されないとの指摘がなされた。

 ゼロ・レーティングが通信量の増加に拍車をかけている面も見逃せない。

●CCCは上場を廃止し、事業を再構築

 CCC創業者の増田宗昭社長は11年7月、MBO(経営陣が参加する買収)を実施し、CCCの全株式を約700億円で買い取り、東証1部上場を廃止した。その理由は、経営の自由度を高め事業の再構築を急ぐためと説明した。

 上場廃止4カ月後、東京・渋谷に次世代型の書店「代官山 蔦屋書店」をオープン。蔦屋書店は、今ではフランチャイズを含め全国に16店を展開している。

 CCCは13年4月、佐賀県武雄市の武雄市図書館の指定管理者となり、入館者を増やした。続けて神奈川県海老名市、岡山県高梁市、山口県周南市の図書館の指定管理者となった。

 出版事業でも買収を加速した。17年3月に徳間書店、同12月には主婦の友社を買収。18年6月には写真用品チェーンのキタムラを子会社にした。

 CCCは上場廃止後、決算は非公開としている。東証2部上場のキタムラを買収した際、キタムラが親会社であるCCCの財務諸表を開示した。それによると、CCCの18年3月期の連結決算の売上高は約2765億円、営業利益は約118億円、当期純利益は約90億円だった。
(文=編集部)