どうせマンションを買うのであれば、居住性もさることながら、将来にわたって資産価値の高いマンションを手に入れたいものです。2023年現在、マンション価格の高騰が続いていますが、なかでも、どんなマンションが上がりやすいのでしょうか。マンションブランド別の資産価値をみてみましょう。

新築マンションは10年で5割も価格アップ

 マンション価格の上昇が続いています。不動産経済研究所の調査によると、2022年度に発売された首都圏の新築マンションの平均価格は6907万円でした。10年前の2012年度は4563万円でしたから、この10年間で51.4%も上がっていることになります。中古マンションも同様で、東日本不動産流通機構によると、2012年度の中古マンションの成約価格の平均は2515万円だったのが、2022年度には4343万円に上がっていて、10年間の上昇率は72.7%に達します。何と新築マンション以上に7割も上がっているのです。

 そんな価格上昇を受けて、マンションのリセールバリュー(価格維持率)も高まっています。東京カンテイによると、10年前に分譲された首都圏の新築マンションのうち、2022年に取引のあった物件の平均価格は分譲時価格の132.5%だったそうです。つまり、平均でも資産価値が3割以上高まっているわけです。

 しかし、一律に上がっているわけではありません。東京メトロ南北線の六本木一丁目駅のマンションは251.6%とおよそ2.5倍になっていますが、郊外エリアでは、むしろリセールバリューが低下しているエリアもあるのです。価格上昇の波のなかで、上昇エリアが多くなっているとはいえ、選択に失敗すると資産価値が下がってしまうこともあるわけです。

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Microsoft Word – 首都圏発表資料2022年度.docx (fudousankeizai.co.jp)
sf_202204-202303.pdf (reins.or.jp)

ほとんどの物件が高騰したマンションブランドも

 不動産売却一括査定などを行うマンションナビを運営するマンションリサーチでは、資産価値の高いブランドマンションをブランド別、個別物件別にランキング化して結果を公表しています。高い人気を誇り、中古になっても価値が落ちないブランドマンション、個別マンションとはどんな物件なのでしょうか。

 まず、ブランド別にみると、資産価値の高いマンションは図表2にある通りです。このランキングでは、各ブランドの資産価値を独自に算定してランキング化したそうです。2021年、2022年に取引のあった各ブランドのうち、2022年に2021年比で高騰がみられた各ブランド銘柄の割合を算定しました。たとえば、2021年と2022年に同じブランドのマンションが10棟取引され、そのうち8割が2022年に高騰していれば、その割合は80%として計算しています。その結果、ベスト10に入ったブランドは各ブランドのうち7割以上が高騰し、なかでも4位までのブランドは9割以上が高騰しているという結果でした。

資産価値の高いブランドマンションランキング東京都編!三井不動産パークタワー、野村不動産プラウド、住友不動産シティタワーなどを比較|マンションリサーチ株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)

三井不動産レジデンシャルはベスト5に2ブランド

 資産価値ランキングのトップに上がったのは、三井不動産レジデンシャルの「パークタワー」シリーズでした。高騰した棟数の割合は95.45%ですから、パークタワーを買っておけば、ほとんど資産価値が高騰すると期待できます。次いで、住友不動産の「シティテラス」の94.74%で、3位には東京建物の「ブリリア」が91.67%で入り、4位には三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ」が91.38%で続いています。ここまでが90%台で、5位の野村不動産の「プラウド」シリーズは83.54%でした。

 ただ、調査に当たったマンションリサーチによると、プラウドシリーズは79棟と他ブランドが多くても20棟、30棟にとどまっているのに比べて圧倒的に棟数が多く、それが8割以上高騰しており、さらに「プラウドタワー」シリーズも11棟のうち9棟で高騰、プラウド、プラウドタワーの根強い人気が伺えるとしています。

三井不動産レジデンシャルのマンションブランド

 ところで、トップに上がったパークタワーを有する三井不動産レジデンシャルは、4位にパークホームズが入り、ブランド力の強さを発揮しています。三井不動産レジデンシャルには、ほかにもいくつかのマンションブランドがあります。そのなかで、パークタワーはどのような位置づけなのでしょうか。

 まず、三井不動産レジデンシャルの最高級マンションシリーズは「パークマンション」。赤坂、青山、麻布の3A地区などの都心の一等地に建てられる、同社のフラッグシップですが、近年は立地難から分譲が激減しており、建設されても、一般分譲されずに、既存顧客対象の非公開の販売で終了するケースが増えているようです。

 それに次ぐのが、「パークタワー」と「パークコート」です。パークタワーは、街のランドマークとなる高品質の超高層マンションで、パークコートは都心の閑静な住宅地に建てられる中高層の邸宅ともいうべきマンションです。さらに、「パークシティ」は環境創造型の大規模物件で、スケールメリットを活かして自然と調和する住まいを目指しています。4位に挙がった「パークホームズ」は、都市居住型の三井不動産レジデンシャルとしては、最もスタンダードなマンションです。

大手不動産はいくつかのシリーズを持っている

 三井不動産だけではありません。大手不動産会社にはいくつかのブランドシリーズがありますから、それぞれどんな違いがあるのかも知っておきたいところです。たとえば、高騰した棟数割合のランキングで2位にはいった「シティテラス」の住友不動産のシリーズとしては、シティテラス以外にも、8位に「シティタワー」が、10位に「シティハウス」が入っています。

 プラウドシリーズの野村不動産にも、プラウドのほか、プラウドタワーがあるのは先に触れた通りですし、同社ではそのほかにも比較的リーズナブルな価格帯のシリーズとして「オハナ」を展開しています。各社のホームページなどには、それぞれのブランドの特徴、違いなどが掲載されているで、事前にチェックしておけば、物件選びに役立つかもしれません。

1年で4割近くも資産価値が高まったマンションも

 最後に、個別マンションの高騰ランキングをみてみましょう。図表3にあるように、トップに立ったのは、住友不動産の「シティタワー麻布十番」で、高騰率は38.59%でした。年率で何と4割近くも資産価値が高まったことになります。次いで、三井不動産レジデンシャルの「パークタワー上野池之端」の29.79%、住友不動産の「シティハウス世田谷桜丘」が22.62%で続いています。ベスト10の顔ぶれをみると、三井、三菱、住友、東京建物といった旧財閥系の大手不動産の物件が並び、そこに野村不動産が顔を覗かせています。

 いずれの物件も都心やその周辺の高級住宅地にあり、価格帯としても億ション以上の物件がほとんどです。資産価値の高まりを期待できる物件を取得するためには、それなりの予算が必要ですが、何とか頑張って手に入れることができるようになりたいものです。


 資産価値の高いブランドマンションランキング東京都編!三井不動産パークタワー、野村不動産プラウド、住友不動産シティタワーなどを比較|マンションリサーチ株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)