「コンビニに寄って、食べ物をたくさん買ってしまう」「仕事をしながらお菓子をつまんでしまう」「夜は飲みすぎてしまう」……こんな人は、毎日の出費がかさみ、お金が貯まらない傾向にあります。さらに、「太ってしまって、なかなかやせられない」というダブルの悩みもあるのではないでしょうか。

 実は、上手な食べ方を意識するだけで、“無駄な出費を防げる”だけでなく、“やせる”という効果も生まれるのです。今回は、貯蓄にもダイエットにも効果的な「食べ方」について、ダイエットの専門家にお話をうかがいました。

●体重は増えてお金は減っていく“ガツガツ食べ”

 今年2月に刊行された『一生太らない魔法の食欲鎮静術』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でボディデザイナーの松尾伊津香さんは、「食べすぎてしまう原因は、しっかり味わっていないから」と話します。

「男性に多いのが、“食べる量”で満足しようとするケース。がっつり食べないと食べた気がしないので、あまり食欲がなくても大盛を頼み、ラーメンにはライスを追加するなど“満腹”を目指します。でも、これは“満足”とは似て非なるもの。そうして太っていくと、倦怠感や肩の凝りが生じ、マッサージなど体のメンテナンス費も必要になります。また、内臓疲労がたまり、仕事のパフォーマンスも落ちてしまいます」(松尾さん)

 では、“満腹”ではなく、しっかり味わって“満足”する食べ方とは、どうすればよいのでしょうか?

「ガツガツ食べて一気に飲み込むのではなく、“舌先”にものを当てるように食べてみましょう。食べ物を口に入れて奥歯で噛んだら、すぐに舌先のほうに持っていき、舌で味を感じながら食べ続けてみてください。飲み込むタイミングは、食べ物の形がなくなったとき。

 舌先は味覚に特化した神経がつながっているため、舌先にものを当てることで、味をしっかり感じ取ることができます。ワインのティスティングのときは、自然と舌先で味わうようになっていますね。本当に味わおうと思うと、舌先にものを当てて食べることが必要なんです。

 普段の食事では、それが雑になり、私たちはほとんど味を感じ取ることなく、風味に騙されて食べていることが多い。 そうすると、量を食べないとやめられなくなる、いわゆる“満腹まで食べること”が必要になります」(同)

 舌先で味わうのにおすすめなのは、「形がしっかりあるもの」と松尾さん。練り物ではなく、焼き魚を選ぶ。パンや麺類よりは、米粒の形がわかるごはん。豆腐より納豆、ハンバーグよりステーキといった具合です。

●胃で「重さ」を感じることで食べすぎ防止に

 さらに、満足感を高めるためには“胃”で感じられる食べ物が効果的だそうです。

「お味噌汁などの発酵食品や温かい乳製品のほか、たとえばスターバックスの『ホットスチームミルク(ソイミルク)』なども、胃に温かさが残りやすいのでおすすめです。『ほかほか』『とろとろ』なものがいいですね。『胃に食べ物が入った』という“重さ”を感じることも重要で、パンよりもごはんがベター。一口食べるごとに、食べ物が入った“胃の重さ”を感じてみてください。こうした食べ方に変えるだけで、自然と食べすぎを防げるようになります」(同)

 仕事上、スマートフォンを手にする時間も多いビジネスパーソンのなかには、「つい、寝るギリギリまでスマホを見ている」という人も多いのではないでしょうか。

「脳の働きがONの状態のまま寝てしまうと、ゆっくり休むことができず、体の疲れが残りやすく、ストレスもたまっていくと思います。しかし、1日3回の食事でゆったりと自分の感覚を味わうことで、フル回転している脳をリラックスさせてあげましょう。まさに、これが心身を満たしてあげる“食欲鎮静術”なのです」(同)

●すべてのダイエットの基礎になる“食欲鎮静術”

 実は、松尾さんは「ミスター&ミス・モデルジャパン2016日本大会(ミス・モデルジャパン部門ガールズクラス)」で第3位を獲得し、現在はビジネスパーソンのための疲労回復専用ジム「ZERO GYM」のエグゼクティブ・プログラムディレクターとしても活躍しています。

 ところが、小さいころから食欲が強く、ハンバーガーの後にパスタを食べ、飲んだ後はラーメンが必須……という過食生活を送っていたそうです。今は思わず見とれてしまうほどスレンダーな体型ですが、さまざまなダイエットを試してきたといいます。

「『食べてはダメ』『こんなに食べ物を買いすぎてはダメ』というブレーキをかけ続けていると、いつか反動がきて、結局食べすぎてしまいます。それではつらいだけですし、ダイエットは成功しません。

 しかし、“食欲鎮静術”で1日3回の食事のたびに舌先で味を、胃で重さを感じながら味わえるようになれば、心から満足できるようになります。ダイエットは、性格や体質、ライフスタイルなどによって『合う・合わない』がありますが、食欲鎮静術は誰でもできますし、食事を楽しむことにもつながります。すべてのダイエットの基礎として、ぜひ試してみてほしいです」(同)

 筆者も、著書『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)で、心から満足することで無駄遣いが減るということをお伝えしています。自分の心を満足させてあげるには、自分で行動することが一番。

 無理に食事を抜く必要がなく、お金はかからず、特別な器具や食材も一切不要な“食欲鎮静術”。今日の食事から、ぜひ“舌先”と“胃の温度と重さ”を意識して食べるようにしてみましょう。食事を楽しめるようになる上、心が満足するので食べすぎることもありません。

 体重をコントロールすることができ、無駄な出費が減ってお金が貯まるようになるなど、“一石何鳥”もの喜びを味わえるはずです。
(文=西山美紀/マネーコラムニスト)