東日本大震災以降、多くの地方自治体が災害時への備えに積極的になっている。いかにして人命を守るのか、そのために必要なライフラインをどうやって確保するのか、考えるべき課題は山のようにある。そうした中でも高い関心を集めているのが、電力をはじめとしたエネルギーの確保である。

被災をした場合、救助が来るまでの間、地域内だけでいかに人々を守ることができるかが重要になる。エネルギーを安定的、継続的に確保ができなければ、病院をはじめとした多くの施設では人命を守ることはできない。食糧や水などと違い、エネルギーの備蓄には限界がある。このエネルギーを、どのようにして確保していくのか、地方自治体や国が一緒になり、新しい取り組みが始まっている。

その中でも特に注目されているのが、再生可能エネルギーとスマート化という2つのキーワードだ。再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力など、自然の力などを利用して生み出されたエネルギーのことだ。これは、インフラが崩壊しても単独で稼働できるという利点がある。

スマート化とは、エネルギーの供給量を管理、調整する技術で、無駄なく賢く使うために必要な仕組みのことである。町全体がスマート化されれば、住宅などに設置されている太陽光発電の発電量、消費量、提供可能な電力量などが把握できるようになる。スマート化によって、電力の需給を管理できるようになり、町を安定稼働させることができるようになるというメリットがあるのだ。

被災した地域内で電力を発電し、それを有効に活用する。再生可能エネルギーとスマート化が実現する世界は、非常に魅力的だ。一見すると、遠い未来の話のように思われるかもしれないが、既に始まっている取り組みなのである

学校は地域の防災の要ともいわれる。東日本大震災の際にも、多くの学校が避難所として利用されたが、耐震性の問題に加え、電気が使えないなど、避難所として多くの問題を露呈した。その反省から、耐震化に加え、太陽光パネルの設置、さらに賢く使うためのスマート化、これらを同時に進めようという取り組みがはじまっている。

この取り組みは、2012年度からスタートしており、東日本大震災で最も被害の大きかった石巻の小学校にも導入が決定している。来年度以降も順次拡大していくことが計画されているが課題もある。現在のところ、太陽光パネルを設置し、学内の電力をまかなうことが目的とされており、学校の敷地外での電力利用が想定されていないのである。これは、原則として学校で発電した電力は、学校の敷地外で利用することが禁止されているためである。こうした制限を撤廃し、発電した電力を、町の中で必要とされる施設などにも供給することができるようになれば、まさに学校は地域防災の要となる。

今後、公共施設や病院など多くの人が利用する施設で、再生可能エネルギーとスマート化の取り組みが進めば、日本の防災力は格段に向上する。被災地の人々を救うための、再生可能エネルギーとスマート化が、全国の施設に普及することを願ってやまない。


<プロフィール>

下田穣(joe shimoda)    リベラルソリューション株式会社 代表取締役社長

人材派遣会社、不動産コンサルティング会社で営業、コンサルティングに従事し た後、リベラルソリューション株式会社を設立。現在は自然エネルギーの分野に着目 し、太陽光発電システムやオール電化製品など、ひとりひとりのライフプランにあわ せた提案を行っている。