(ブルームバーグ): ミャンマー国軍によるクーデターを受けた全国的な抗議デモが最高潮に達した2月、数百人のデモ参加者がヤンゴンの日本大使館前に集まった。丸山市郎駐ミャンマー大使が門の外に現れ、拘束された文民指導部を「直ちに」解放するよう、国軍に強く警告した。

  ビルマ語でのこの発言は、日本が国軍に圧力をかけるため具体的な措置を講じると期待する民主派のデモ参加者から称賛を得た。だが日本はその後、国軍との間で人道的なものを除く新たな取引の実行を避けると表明するにとどめ、制裁や進行中のインフラプロジェクト停止を求める要求に抵抗している。

  さらに、影響力を持つ一部の日本人の発言はミャンマー国軍を受け入れたい意向を示している。日本ミャンマー協会の渡辺祐介氏は先月の寄稿で、日本政府は「体制転換について欧米の政策にやみくもに同調するのではなく、国軍と米国、他の民主主義国家の架け橋になる必要がある」と訴えた。渡辺氏はミャンマー国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官と「常に連絡を取っている数少ない外国人の一人」と主張している。

  ミャンマー国軍に経済的な圧力をかけることに消極的な日本の姿勢は、民主主義を守るよう求める動きに実行力を持たせたいバイデン米大統領がアジアの米同盟国を説得する難しさを示している。民主主義の擁護はバイデン大統領が先の主要7カ国首脳会議(G7サミット)などで表明した重要なテーマでもある。  一方、特に日本とインドにとって、ミャンマー国軍に対する厳しい措置は、中国の地域的な影響力を高めるリスクがあるだけだ。日印は中国西部・新疆ウイグル自治区の人権問題についても中国当局者への制裁で欧米に同調することを避けている。

  日本の外務省当局者は書面での質問に対し電話で回答し、国際社会において日本にはミャンマー国軍を含め同国と多くの対話のルートが存在するとした上で、日本だけでなく多くの国が状況に基づきこの問題に対処する最善策を検討していると理解しているとコメントした。

  日本がより厳格な措置を拒んでいる主因の一つは、中国に影響力を譲り渡してしまうことになる懸念だ。中国政府は国連安全保障理事会で統一的な制裁措置を取ることを阻止し、中国の対ミャンマー政策はクーデターの影響を受けないと表明。世界の舞台でミャンマー国軍の統治を正当化した。

  シンガポール国際問題研究所(SIIA)のサイモン・テイ理事長は日本について、「ミャンマーに投じた多額の資金や、中国との地経学的競争の場とみなしていることを踏まえると、手を引くことにかなり消極的だ」と指摘した。

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