(ブルームバーグ): 米株式相場の波乱の9週間と調整局面入りは、アナリストらに厄介な問いを投げ掛けている。株式市場は経済について何を伝えているのだろうかという問題だ。

  投資家がリセッション(景気後退)に備えていることを示す明らかな兆候はほとんどいないが、その言葉が取り上げられるケースは増えている。

  株式市場ではディフェンシブ銘柄の台頭や、相場の乱高下に耐えられる企業の突然の人気の高まりなど、過去に成長減速の前触れになった動きが見られる。経済成長と企業収益の伸びは今年の急激なペースから2019年には鈍化すると見込まれているため、これは理にかなう動きだ。

  以下のチャートの大部分は、リセッションを最も明白な結論とは見ていないアナリストの見解を表している。多くのアナリストは10年にわたる長期上昇相場の後だけに急落は健全と受け止めているが、貿易戦争の広がりや米追加利上げ観測を背景に、リセッションの可能性に言及することを少なくともいとわないアナリストの数は増えている。

  キーバンクのチーフ投資ストラテジスト、ブルース・マケイン氏は「売り浴びせの要因は何かと言えば、われわれに見えない何かを市場が見抜いているのかという考えだ。世界の成長や世界経済が想定されるよりもはるかに弱いなら、逃げ場所はあまり多くないとの懸念を強める」と指摘した。

モメンタムの恐怖

  9月下旬以降、米株式市場の時価総額は3兆ドル(約340兆円)減少。売り浴びせでS&P500種株価指数は高値から10%下落し、テクノロジー株は調整局面の基準を大きく超える下げを演じた。

  どれだけ激しい売り浴びせなのかを知るには、200日移動平均を割り込んでいる銘柄の数を見れば一目瞭然だ。S&P500種構成企業で200日移動平均を上回っているのはわずか37%にとどまる。

  同時にこのチャートは、景気の先行きを占う手掛かりとして相場動向を真剣に受け止め過ぎるのは間違いである可能性も示している。失速した銘柄の数の多さは歴史的基準では高いものの、直近の前例である16年の場合、そのシグナルの後にリセッションは発生しなかった。

  今回も同じだろうというのが、リセッションの予測を仕事とする人々の意見だ。ブルームバーグが算出する米リセッション確率予想指数によると、米国が向こう1年にリセッション入りする確率は15%。米経済は来年と20年に多少減速すると予想されつつも、エコノミスト予想の中央値では向こう1年で2.6%の成長が見込まれている。

  エコノミストがリセッション予測で必ずしも素晴らしい成績を収めてきたわけではないが、いずれにせよ投資家は不安な動きを見せている。投資家は不況を相対的にうまく乗り切るディフェンシブ銘柄に資金をシフトさせており、9四半期連続で市場全般に出遅れていた公共株は唯一、9月以来上昇している。

  一部の投資家は株式市場の波乱からの避難先として、価格変動が抑制された銘柄に注目している。リスク回避姿勢の投資家が殺到したことで、「インベスコ・S&P低ボラティリティーETF」は9月下旬に始まった相場急落以来、S&Pを上回るパフォーマンスだ。

  JPモルガンのストラテジストらは今週のリポートで、ディフェンシブ銘柄と景気敏感株のパフォーマンスの差について、投資家がリセッションのようなシナリオを織り込み始めていることの表れだと指摘。ただ、こうした動きは行き過ぎで、ファンダメンタルズと一貫しないとの見方も示した。

原題:Grim Stock Signals Piling Up as Wall Street Mulls Recession Odds(抜粋)

--取材協力:Lu Wang.

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