(ブルームバーグ): オリックスは、中小企業に対する事業承継支援ビジネスに本格参入する。自己資金で対象企業の株式をいったん買い取り、企業に後継者選びの時間的猶予を提供。投資ファンドが手を出しづらい、成長しなくても地域に不可欠な企業を主なターゲットとし、通常の投資より低いリターンを許容する代わりに地域にオリックスファンが増える波及効果を「利益」として計上するという。

  5日の発表によると、昨年10月に立ち上げた専門チームを今年3月に21人体制に拡大。同月、第1号案件として2社の買収を完了した。同社のプライベートエクイティー(未公開株、PE)投資では一般的に内部収益率(IRR)20%を目標とするが、今回の取り組みでは同10%を下回ることを許容する。

  1件当たりの投資上限は約100億円で、投資期間中はオリックスの営業網で事業を支援する。投資回収期限などは設けない。非上場の中小企業は株式の流動性が低いため、割安に買収して新たな経営陣にも割安に株式を譲ることでスムーズな経営交代を実現したい考え。ライバル企業への売却や企業名の変更に抵抗があるなど創業家のこだわりが事業譲渡を阻む例もあり、中立の立場で橋渡しを行える仕組みを整えた。

  同日に会見した松崎悟常務執行役は「後継者難の企業の中には、成長は望めないが事業を維持することで地域に支持されているところはたくさんある。事業承継ファンドは世の中に多くあるが、投資家へ利益還元する必要があるため、こうした社会的課題に正面から取り組めないのではないか」と指摘。すでに全国から1500件以上の相談が寄せられており、うち5件程度はかなり交渉が進んだ段階だという。

  

(第3段落に内容を追加して更新します.)

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