(ブルームバーグ): ソフトバンクグループの孫正義社長は7日の決算会見で、ビジョンファンド(VF)2号について、1号ファンドの主要投資家だったサウジアラビアとアブダビ首長国の投資機関とは良好な関係を継続しており、双方と「具体的な条件を詰めている」ことを明らかにした。

  孫社長は、2号ファンドへの出資を表明した投資家との基本合意書は金額入りで、なお複数の投資家と協議中であると説明。これらが合意すれば、ファンド総額は現状より「大きく膨らむと想定している」と話した。また、2号ファンドの投資は「来月、再来月から始まる可能性がある」と言う。

  1号ファンドでは、サウジ政府系のパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)やアブダビのムバダラ開発公社が出資していた。孫社長は、昨秋起きたトルコのサウジ総領事館での記者殺害に関する質問に「起こるべきではない事件が起きた。あまり深いことをわれわれが知り得る立場にはない」と述べた。

  ソフトバンクGは7月、人工知能(AI)など世界の先端テクノロジー企業に投資するビジョンファンド2号の設立を発表した。出資総額は1号ファンドを上回る1080億ドル(11.4兆円)で、米アップルやマイクロソフト、日本からみずほ銀行や大和証券グループ本社が参加する見通しだ。ソフトバンクGも380億ドルを出資予定。

  7日に発表した4−6月期(第1四半期)の営業利益は6888億円(前年同期比3.7%減)と市場予想(3453億円)を上回った。ビジョンファンドなど投資事業からの利益が増加した。

  発表資料によると、ビジョンファンドとデルタファンドからの営業利益は前年同期比66%増の3976億円。インドのホテルチェーンであるOYO(オヨ)など投資先の公正価値増加などが寄与した。6月末時点の投資企業数は81。

  孫社長は投資事業での既存の出資先について、「1年間で5、6社、来年は10社ぐらい上場する」との見通しを示した。

  一方、資産の減損など一時的な損失を計上したスプリント事業、中国事業合弁化の一時益を計上した前年の反動があったアーム事業の利益は悪化した。

  全体の純利益は1兆1217億円と昨年の3137億円から大きく増えた。保有するアリババ・グループ・ホールディング株を使った資金調達取引の一環で、税引前利益段階で約1兆2000億円の利益を計上している。

  孫社長は会見で、「戦略的持株会社として保有する株主価値をいかに最大化していくかが大きな仕事」と述べた上で、スプリントとアーム事業の一時的影響を除くと、第1四半期の営業利益は実質的に37%増だったことを明らかにした。

  同社長は、スプリントとTモバイルUSの合併が米司法省に条件付きで承認されたほか、ビジョンファンド2の組成発表を挙げ、「この2つはソフトバンクグループにとっては大きな前進である」と指摘。スプリントは、次の四半期から非継続事業として扱われる予定だ。

  SMBC日興証券の菊池悟アナリストは電話取材で、「ビジョンファンドの利益が出ており、非常にいい印象だ」と話した。オヨの利益が予想より上振れており、「ソフトバンクの戦略や目指すところが確認できた」とみている。

  一方、傘下企業でソフトバンクGから見ると孫会社に当たるヤフー、ひ孫のアスクルの間で経営対立が表面化している。自身の関与について孫社長は、「裏で糸を引いたり、忖度させたことはない」と否定。さらに、親子上場については「欧米でも禁止されているわけではない」とした上で、「親子上場だから投資したくない人は投資しなければ良い」と話した。

(アスクル問題などに関する孫社長の発言内容を追記します.)

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