(ブルームバーグ): ソフトバンク傘下のヤフーは12日、ファッション通販サイトを運営するZOZO(ゾゾ)に株式の公開買い付け(TOB)を行うと発表した。最大50.1%(約1億5300万株)を取得し、ネットを通じた電子商取引(Eコマース)事業を拡大する。 

  ZOZO創業者で37%の株式を持つ前沢友作前社長はTOBに賛同しており、大半を売却する意向。12日付で社長を退任し、後任には沢田宏太郎取締役が就任した。

  前沢氏は会見で、退任理由について「私のワンマン経営から、現場が権限や裁量を持つチーム力の高い組織に変わっていかなくてはならない」と話した。計画する月への旅行への準備も理由に挙げた。

  発表によれば、TOB価格は1株2620円(11日終値2166円)で、全てを買い付けた場合、取得総額は4007億円とヤフーの買収では過去最大となる。10月上旬の開始を目指す。TOB後もZOZOの上場は維持する計画だという。

  12日のZOZO株の終値は前日比13%高の2457円とTOB価格を下回った。ヤフー株は同2.4%高。

  TOBが成立した場合、ヤフーは取締役2人を派遣するほか、オブザーバー2人を取締役会に出席させることができる。また、取締役会で独立社外取締役が占める割合は3分の1以上とする予定。

  ヤフーはみずほ証券、ZOZOはSMBC日興証券がフィナンシャル・アドバイザーを務める。

  ヤフーは買収によって、ZOZOのネットを通じた服飾販売のノウハウを取り込み、Eコマースを強化する考え。国内では、米アマゾンや楽天との競争が激しくなっており、他社との差別化を図る。ヤフーを連結化したソフトバンクにとっても相乗効果が見込める。

会見にソフトバンクG孫氏

  ヤフーの川辺健太郎社長は会見でヤフーとZOZOは「ユーザー属性が補完的」とした上で「両社ともに顧客基盤の拡大が見込める」と述べた。2020年代前半に達成したいとしていたEコマースの取扱高の国内1位が「ZOZOとの資本提携で手が届きつつある」という。

  同分野では、ZOZOや傘下のアスクルのような有望な企業があれば、積極的に買収を検討すると述べた。またヤフーとアスクルで混乱を生じた親子上場については「ほかの株主の視点で、いかにZOZOの価値を最大化するか考える」と話した。

  ZOZO側にとっても、ヤフーの顧客層や経営資源の活用により、利益拡大が期待できる。日本国内のファッション小売市場は約13.5兆円規模だが、インターネットを通じた市場は1.5兆円程度にとどまっており、欧米と比較すれば成長余地は多く残されているという。

  ZOZOは1998年設立。国内最大級のファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営し、20−30歳代が顧客の中心となっている。前沢氏は2018年9月、23年に米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がCEOを務める米宇宙ベンチャー「スペースX」の大型ロケットで月を周回する計画を発表していた。

  会見にはソフトバンクグループの孫正義社長も登場し、前沢氏から相談を受け、傘下のヤフーとZOZOの橋渡し役を果たしたと述べた。当初、前沢氏の社長続投を求めたが、「すぱっと新しい人生を生きたい」と言われ、断られたという。孫社長は前沢氏を「僕も彼も創業者ですが、生き様がかっこいい」と話した。

(更新前の記事は最終段落のZOZOの設立年を訂正済みです)

(会見内容を追加します)

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