(ブルームバーグ): 世界貿易機関(WTO)は欧州連合(EU)が航空機メーカーのエアバスに不当な政府補助金を提供している対抗措置として、米国が75億ドル(約8100億円)相当のEU製品に報復関税を課すことを認めた。

  承認された報復関税の規模はWTO史上最大。これまでで最大だった2002年の40億4000万ドルの2倍近くとなる。

  米国はすでに中国と貿易戦争を展開中で、EUとも関税合戦を繰り広げるとなれば、世界経済を脅かすことになりかねない。WTOは1日発表した報告書で、今年の世界貿易伸び率見通しを10年ぶりの低水準に引き下げ、「非難応酬の破壊的サイクル」を招く可能性があると警告した。

  米国は報復関税の対象とする暫定リストを作成し、この中から対象品目を設定できる。リストにはエアバスの航空機や部品、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンやレミーコアントロー、ペルノ・リカールなどのワイン・蒸留酒、クリスチャン・ディオールやエルメス・インターナショナルの革製品などが含まれる。

  WTOは米国の報告を月内にジュネーブで開く会合で採択する見込みで、この手続きを経て米国は新関税を課すことが可能になる。

  ただ、欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)によると、米国がエアバスに関連した報復関税を導入する場合、来年初めに見込まれる米国のボーイングへの補助金を巡るWTO判断を待って、EUも報復措置を講じる方針。

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