(ブルームバーグ): スウェーデン出身の10代の環境活動家グレタ・トゥンベリさんは2019年の世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、気候変動でパニックを起こすべき時期だと訴えたが、その主張がようやく痛感され始めているようだ。今年の年次総会出席者はトゥンベリさんのメッセージに危機感を強めている。

  スイスのダボスで毎年開催される同総会は今年で50回目で、政府高官や億万長者、企業経営者らが出席するが、地球温暖化問題はこれまでにないほど圧倒的なメインテーマだ。WEFによる年次リスク調査では、環境危機がサイバー攻撃やテロなどの項目を押しのけて最大のリスクに浮上した。

  昨年のダボス会議でトゥンベリさんが「私たちの家は燃えている」と訴えた通り、この10年の気温は過去最高となり、水の都ベネチアは高潮による浸水に見舞われ、ブラジルの熱帯雨林やオーストラリアの森林が火災で燃えている。対応の緊急性を強調するため、気候変動問題の活動家らはラントクワルトからダボスに向けてデモ行進しており、トゥンベリさんは21日にダボス会議で講演する。

  ただ、こうした主張にすべての出席者が耳を傾けるわけではない。気候変動への国際的な取り組みを定めたパリ協定から離脱した米国のトランプ大統領はダボス会議初日に演説を行う。

  今年の総会のセッションの2割近くは環境問題がテーマで、金融危機がまだ記憶に新しい時期だった2010年の約13%から増えた。

  WEF主催者はまた、 株主価値の創造にとどまらない「より良い種類の資本主義」を目指すためダボス・マニフェストを刷新した。これは格差問題への取り組みも意味する。WEFは今週公表した報告書で、急速な技術変化の影響を最も大きく受ける人々が忘れ去られないよう各国政府が一層努力しない限り、世界の不平等は悪化するとの見通しを示した。

  これはWEFの年間予算約3億5000万ドルの大部分を拠出する世界の主要企業に向けたメッセージでもある。

  WEFは環境や社会の問題への立場を明確にしてきたトゥンベリさんら10代の若者を10人招待したが、その数は少なくとも119人に上る億万長者の出席者数に遠く及ばない。注目の出席者には JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)や、農産品取引会社ルイ・ドレフュスを率いるマルガリータ・ルイ・ドレフュス氏が並ぶ。

  もう一つの差し迫った問題は男女平等だ。WEFは多様性の重要性を訴えているものの、ダボス会議ではなお男性が優勢であることは明らかだ。ラガルド欧州中央銀行(ECB)新総裁やフェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は出席する予定だが、女性出席者の割合はここ数年で改善しているとはいえ、依然として25%に届かない。

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