(ブルームバーグ): 横浜港沖に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者10人が新型コロナウイルス検査で陽性と確認されたと5日午前、厚生労働省が発表した。うち3人は日本国籍。乗客2666人と1045人の乗務員を乗せた同船は3日夜、同港に到着していた。

  記者会見した加藤勝信厚労相によると、海上での検疫で検査結果が判明した31人のうち10人の陽性が確認された。10人は午前7時半ごろから下船、神奈川県内の医療機関に搬送された。厚労省は記者説明で、陽性の10人には無症状の人も含まれるとした。

  香港でも5日午前に入港したクルーズ船「ワールド・ドリーム」号の乗員・乗客3600人に対して検疫を実施している。港湾の保健責任者が明らかにした。乗客3人のウイルス感染が確認されているが、3人は1月24日に中国で下船したという。乗客らは検疫が終わるまでは下船できない状態となっている。  

  厚労省の発表では、横浜港沖のクルーズ船で陽性が確認された3人の日本人は50代、60代の女性と60代の男性だった。発症した10人は50〜80代で、うち2人が香港での下船後感染が確認された男性との濃厚接触者。クルーズ船を運航する米カーニバルの発表文よると、日本人以外で陽性が確認されたのは乗客がオーストラリア人2人、米国人1人、香港の中国人3人、乗員がフィリピン人1人。

  ブルームバーグが取材した乗船中の30代の男性によると、5日に予定されていたショーなどの船内イベントは行われておらず、客室での待機を要請するアナウンスがあったという。食事はマスク姿のクルーが部屋まで届けてくれている。男性はツイッターで船内の状況を報告している。

  クルーズ船からは症状が現れている人とその濃厚接触者合わせて273人について検体を取り、感染の有無を調べている。全員の結果が判明するまで数日かかる見通し。香港の男性との濃厚接触者は34人おり、同じバスツアーなどに参加していた。この男性は鹿児島で下船し、バスツアーに参加していた。

  残る乗船者については、14日間を念頭に引き続き船内に滞在してもらう。高齢者や基礎的疾患のある人については感染すると重篤になる危険性があるため、準備ができ次第、検査を実施するという。船には香港、台湾を含め56カ国・地域の人が乗船している。

  安倍晋三首相は5日午前の衆院予算委員会で、残る乗員・乗客について「当面上陸を認めないこととし、必要な期間船内にとどまり、感染を予防する行動を徹底しつつ客室で確実に待機していただく」と述べた。

  カーニバルは発表文で、検疫期間中、乗客には引き続き家族らとの連絡のためのインターネットと電話の使用を無料で提供するとしている。同社は4、12日に横浜港から出航予定だったクルーズの運航を中止した。

6日にもチャーター第4便

  日本国内では4日までの同省発表で23人の感染者が確認されていた。政府はこれまで湖北省在住の邦人をチャーター機で3回にわたり、帰国させているが、同省には帰国希望の邦人が約140人残っている。茂木敏充外相は5日、国会内で記者団に対し、第4便を6日に派遣する予定で準備を進めていることを明らかにした。中国籍の配偶者も搭乗を認めてもらうよう中国側と調整しており、200人程度の搭乗を想定している。

  菅義偉官房長官によると、第1便から3便で帰国した邦人についてはすでにウイルス検査済みで、10日間の健康観察期間の最終日に再度実施し、陰性なら帰宅してもらう方針という。

  自民党は5日午前、新型コロナウイルス関連肺炎対策本部を開催した。本部長の田村憲久元厚労相によると、議論を受けて水際対策、国内体制、感染症対策に関する法整備などを柱とする提言をまとめ、6日以降、首相官邸に申し入れる予定。

(香港の状況と横浜クルーズ船の乗客SNS情報を追加し更新しました)

©2020 Bloomberg L.P.