(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスの感染予防のため航空機内でマスクやゴム手袋をするのは忘れよう。感染を防ぐ最も効果的な方法はよく手を洗うことだ。国際航空運送協会(IATA)の医療アドバイザーがこう指摘した。

  IATAのアドバイザーを務めるデービッド・パウエル医師はウイルスの寿命は座席や肘掛けであれば長くなく、機内で感染する最も大きなリスクは他人との身体的接触だと説明。マスクや手袋は微生物を防ぐよりもむしろ拡散させることになるという。

  新型コロナウイルスの感染拡大を巡り不安が広がる中、米ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスや香港のキャセイパシフィック航空など航空会社は多くの中国便を減らした。

  パウエル医師とのやり取りを編集したコメントは次の通り。

Q:機内でウイルスに感染するリスクはあるのか

  機内における深刻なウイルス感染のリスクは低い。現代の旅客機での給気は映画館やオフィスビルとは大きく異なる。新鮮な空気と再循環した空気の組み合わせとなっており、だいたい半々だ。

  再循環した空気は外科手術室でわれわれが使用している全く同じタイプのフィルターを通じて送り込まれている。こうして供給された空気にはウイルスや他の粒子が99.97%(あるいはそれ以上)除かれていることが保証されている。このため、リスクがあるとすれば給気からではなく、他人からだ。

Q:座席や肘掛け、あるいは機内にある物に触れてウイルスに感染する可能性はどの程度あるのか

  ウイルスや微生物はわれわれ人間のような生きた表面にとどまることを好む。誰かと握手するだけでも生体物質がない乾いた表面よりもはるかにリスクは高いだろう。表面上でウイルスが生き続けるのは難しく、通常の清掃、誰かが感染したことが分かった場合は追加の清掃が適切な方法と考えられる。

Q:機内で感染しないようにするには何が大事か

  手を衛生的に保つことだ。一般に考えられているのとは異なり、こうしたウイルスが最も効率的に広がる経路は手だ。最も重要なのは頻繁な手洗い、手の消毒、またはその両方になる。

  顔に触れるのは控えた方がいい。手を洗った後、手を乾かすのが最善だ。そうすることが難しければアルコール消毒が次善の策として有効だ。

Q:マスクや手袋の着用は感染予防に役立つのか

  マスクから言うと、普段の状況で予防に役立つことがあったとしても、それを示す証拠は非常に限られる。マスクは体調の悪い人が自分から他人を守るのに有益だが、マスクの常時着用は効果がないだろう。マスクの周りやそれを経由してウイルス感染を許すことになり、湿気を含んでいるとウイルスや細菌の増殖を促すことにもなる。

  手袋の着用はさらによくないだろう。素手で触れたであろう部分を手袋をして触るだけであり、微生物が移ることに変わりはない。また、手袋の中は温度が高く汗ばんでおり、微生物の増殖には実に良い環境だ。

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