(ブルームバーグ): 日産自動車が計5000億円規模の融資を3メガバンクと日本政策投資銀行に要請した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。日産は新型コロナウイルスの感染拡大で世界各地で生産・販売が大きく落ち込んでいる。

  匿名を条件に話した関係者3人によると、日産は、みずほ銀行と三菱UFJ銀行、三井住友銀行の3行と政投銀に合計5000億円程度の融資を要請した。現時点で各行の分担額や融資の形態などについて詳しい議論はしていないという。

  ブルームバーグのデータによると、日産は昨年12月末時点で現預金が約1兆2000億円で有価証券などの短期投資は2143億円あり、合計の手元資金は約1兆4185億円だった。日本経済新聞によると、既存の融資枠も自動車事業分だけで5000億円程度を確保しているものの、手元資金が約6兆円のトヨタ自動車など競合と比べて財務基盤は弱いとしている。

  日産は新型コロナの感染源とされた武漢市のある中国・湖北省に現地合弁の生産拠点を持ち、春節明け以降に長期の操業停止に追い込まれた。感染が世界中に拡大すると、欧州や米国、日本の工場でも順次、操業を停止。国内外で従業員の一時解雇や一時帰休に踏み切るなど経営を巡る環境が急速に悪化している。

  日産の業績はカルロス・ゴーン元会長が2018年に会社法違反(特別背任)などで逮捕、起訴されてから急速に悪化。前期(20年3月期)の業績予想を昨年11月と今年2月に2度下方修正し、現在は営業利益が前の期比73%減の850億円、売上高は同12%減の10兆2000億円を見込んでいる。

  日産広報担当の百瀬梓氏は「当面の事業運営に関わる十分な資金は有しているが、将来の危機に備えて種々検討していることは事実」とした上で、具体的な内容についてはコメントしないとした。三菱UFJ銀とみずほ銀の広報担当者はコメントを控えた。三井住友銀と政投銀の広報担当者からは現時点でコメントを得られていない。

  日経新聞(電子版)は9日、日産が計5000億円規模の融資枠を3メガバンクと政投銀に要請したと報じていた。政投銀は「危機対応融資」と呼ばれる枠組みでの融資になる見通しで、日産は7日に開いた取締役会で資金の確保策を説明したとしている。

(関係者からの情報を加えて記事を更新します)

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