(ブルームバーグ): 厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染を短時間で診断できる「抗原検査」のキットで、みらかホールディングスの製品を13日に薬事承認する。PCR検査と組み合わせて検査体制を強化し、感染実態の把握につなげる狙いがある。

  加藤勝信厚労相が12日の参院厚労委で、12日に薬事承認の手続きが終了し、13日午前0時に承認することを明らかにした。13日に中央社会保険医療協議会(中医協)で医療保険上の取り扱いを協議する。

  承認される検査キットは、みらかHD傘下の富士レビオが4月27日に製品の薬事承認を申請していた。同社の迅速診断キットは、すでにインフルエンザウイルスなどの検査の際に、病院や保健所で広く使用されている。

  抗原検査はPCR検査と比べると精度がやや劣るものの、30分程度の短時間で結果が出る。菅義偉官房長官は11日の記者会見で、抗原検査で陰性だった場合のみにPCR検査を行うことで、「効率的な検査を実施していく」との考えを示した。

  厚労省の発表資料によると、抗原検査では、患者の鼻やのどの奥をぬぐって検体を採取し、その場で結果が判明する。PCR検査は、結果が出るまでに4−6時間を要している。

  新型コロナウイルスの検査体制については、政府の専門家会議が4日、国内のPCR検査件数が「他国と比較して明らかに少ない」と指摘しており、体制の拡充を改めて求めている。専門家会議の資料によると、人口10万人あたりのPCR検査件数はイタリアが3159件、米国が1752.3件、日本は187.8件。ただ陽性率は欧米と比べて低く、「潜在的な感染者をより捕捉できていないわけではない」とした。

  安倍晋三首相は12日の衆院本会議で、検査体制について「特に東京など大都市圏において検体採取を行う人員や拠点も限られる中、さらに効率的に実施することが必要」と指摘。過去に感染したことがあるかを調べる「抗体検査」の検査キットについても、「性能評価および疫学調査を速やかに実施する」との考えを示した。

治療薬承認

  検査件数の少なさが際立つ一方、日本政府は治療薬の薬事承認を急いでいる。7日には、米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」を新型コロナウイルスの治療薬として初めて承認。緊急時に審査期間を簡略化できる「特例承認」の形で、申請から3日という異例の速さで承認した。

  企業による治験が進められている富士フイルム富山化学の新型インフルエンザ治療薬「アビガン」についても、政府が5月中に薬事承認する方針を示している。ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智特別栄誉教授が開発に貢献した抗寄生虫薬「イベルメクチン」についても治験を開始する方針を示している。

(安倍首相の国会答弁を追加して更新しました)

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