(ブルームバーグ): アストラゼネカの既存のがん治療薬が、過剰免疫反応を起こした新型コロナウイルス感染症(COVID19)患者向けといった本来とは異なる治療目的で利用できる可能性が19人対象の小規模試験で示唆された。

  多くの新型コロナ患者は免疫システムがウイルスに過剰反応する際に「サイトカインストーム」とも呼ばれる炎症性疾患を発症する。アストラの「Calquence」(カルクエンス、一般名アカラブルチニブ)は炎症にかかわるタンパク質を標的とするブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤で、こうした合併症を抑える働きがあると考えられる。

  専門誌サイエンス・イミュノロジーに掲載された試験結果によると、当初酸素が必要だった入院患者11人のうち9人が、カルクエンス投与後に退院できた。残る2人のうち1人はなお入院中で、もう1人は死亡した。人工呼吸器が必要だった患者8人については、4人死亡したが、4人が投与終了までに装置を外し、酸素補給が不要になった。

  投与期間は10ー14日で、大半の患者で血中の酸素レベルが投与開始後3日以内に改善した。同薬の効果の検証にはより大規模な試験を実施し、プラセボ(偽薬)との比較が必要だ。アストラはサイトカインストームを発症した入院患者を対象とする2つの中期試験を開始した。

  同社は試験で米国立衛生研究所(NIH)と協力。カルクエンスは成人慢性リンパ性白血病(CLL)の治療薬として米国などで承認されている。

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