(ブルームバーグ): 米アップルを主要顧客とするジャパンディスプレイは、スマートフォン向け有機ELパネルの量産について、複数の顧客企業と共同事業化で協議している。低コストの独自製法による新製品の開発を進めており、需要を見極めて参入に踏み切るかどうか判断する方針だ。

  菊岡稔社長は14日のインタビューで、消費電力が低く高精細な有機ELを開発中だと説明した。個別企業名への言及は控えたが、資金拠出の可能性も含め、複数の顧客が量産事業への参加に意欲を示しているという。同社は既にアップルウオッチ向けに小型の有機ELパネルを供給している。

  一定の顧客を確保できるかどうかを判断基準に、早ければ2022年の量産開始を視野に入れている。液晶パネルを生産する茂原工場(千葉県茂原市)とは別の拠点に、新たに資金を投じて設備を整える必要があるとみている。

  Jディスプは売り上げの約6割(19年3月期)をアップル向けが占める。アップルは17年から有機EL搭載のスマホを販売している。韓国のサムスン電子や中国の華為技術(ファーウェイ)もパネル自体が発光するためバックライトが必要なく薄くて軽い有機ELの採用を増やしている。

  スマホ向け有機ELはサムスンや中国メーカーなどが生産している。英調査会社IDTechExによるとサムスンが最大手で、18年には全体の約9割を出荷した。 

  Jディスプはアップル向け液晶パネルの販売不振から20年3月期まで6年連続で最終赤字を計上。債務超過に陥っていたが、いちごアセットマネジメントからの資金調達などにより債務超過を解消した。アップルも一部生産装置を購入するなど資金面で支援している。

  菊岡社長は主要な顧客との関係について、これまでも互いに協力して製品開発につなげるなど「単なる顧客とサプライヤーを超えている。薄まることはない」と話した。

  Jディスプの株価は報道後に、一時前日比38%高の66円と18年12月14日(46%)以来の日中上昇率を記録した。20年3月3日(67円)以来の高値。

(菊岡社長のコメントや詳細を追加しました)

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