(ブルームバーグ): 過去のリセッション(景気後退)後の経済回復を米国と欧州で比べると、通常は米国の方がうまくやってきた。米国では労働者の解雇による事業の合理化や、破産手続きを行って新規事業を始めることが比較的容易である点が一因とされる。

  だが、新型コロナウイルス感染拡大の危機にあって、こうした優位は直ちに明白とは言えないようだ。

  景気の落ち込みのスピードや深刻さに加え、先行きの途方もない不確実性を踏まえると、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が進む中での急速なリストラのコストは大きくなると考えられる。時流に遅れた企業や事業慣行がもっと生産的で新しいものに置き換えられる過程をエコノミストは「創造的破壊」と呼ぶが、各国政府はこのプロセスをどの程度認めるべきか思案している。

  賛否両論があるが、現状では創造的破壊の進行を容認するべきでないという主張の論拠は、公衆衛生上の緊急事態をいったん脱すれば業績回復の見込みが十分ある企業までもが一掃されかねないというものだ。

  従来は創造的破壊が進むのを成り行きに任せる傾向が強かった米国でも、破産裁判所が対応に手一杯となるほど企業破綻が相次いで、失業率が現在のような高水準にとどまったままになるのではないかとの懸念がある。

  前ニューヨーク連銀総裁で、現在はプリンストン大学の上級研究員やブルームバーグ・オピニオンのコラムニストを務めるウィリアム・ダドリー氏は、「破綻が一斉に起こるのは望ましくない。経済にとって壊滅的だからだ。企業が1社ずつ時々破綻するのであれば問題ないが、システミックな破綻は他の全ての人々に多くの負担をもたらす」と話した。

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