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英オックスフォード大学が同国製薬大手アストラゼネカと共同で開発を進めている新型コロナウイルスのワクチン候補が、ヒトを対象とした初期の治験で有望な結果を示した。今後はより大規模な試験に進み、実際にいかに有効かが明白になると考えられる。

  ただ今回の結果は市場を納得させるほどの内容ではなかった。20日のニューヨーク市場でアストラゼネカの米国預託証券(ADR)は記録的な高値から下落し、4%安で引けた。米ファイザーと独バイオNテックが開発するワクチン候補や米モデルナのワクチン候補の進展に匹敵し得るかどうかについて懸念が生じた。ロニー・ガル氏らバーンスタインのアナリストは「競争の観点から見て、印象付けるものではない」と指摘した。

  アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は電話会議で「実際にワクチン供給を年内に開始できることを望んでいる」とした上で、「できるだけ速やかに取り組んでいくが、当然ながらコントロールできないこともある」と語った。

  治験に関わる研究者らによれば、このワクチン候補は感染を防ぐ中和抗体と新型コロナを攻撃するT細胞の両方を増加させた。研究結果は20日、医学誌ランセットで公表された。

  オックスフォード大ジェンナー研究所のエイドリアン・ヒル所長はインタビューで、「非常に良好な免疫反応が見られている。中和抗体のみならず、T細胞においてもだ」と指摘。「自然免疫と獲得免疫の両方に刺激を与えている」と加えた。

  中和抗体の産生を刺激することはワクチン候補の有効性を示すものではないが、試験において重要な早期のステップとみなされている。動物への試験結果ではこのワクチン候補が免疫反応を誘発したことが示されている。

  4月23日と5月21日に実施されたヒトへの第1/2相試験には新型コロナの感染歴がない18−55歳の健康な成人1077人が参加。対照群はプラセボ(偽薬)として髄膜炎のワクチンを投与され、別の10人は1カ月の間隔をあけて2回投与された。ワクチン候補投与で軽度の副作用が生じたが、深刻な有害事象は確認されなかった。

  大半の被験者は単回投与だった。この群では投与から1カ月後の時点で、被験者の95%で新型コロナのスパイクタンパク質に対する抗体が4倍に増えた。スパイクタンパク質はウイルスが細胞に入る際に利用する。T細胞の反応は投与から14日目までをピークに、全ての被験者で誘導された。

  アストラゼネカは今後の試験で2回投与を優先させると、ヒル所長はインタビューで語った。オックスフォード大でこの取り組みを主導したワクチン学者のサラ・ギルバート氏によると、英国の治験で18−55歳と55歳を上回る年齢層への2回投与が既に行われつつある。米国で数週間以内に開始予定のより大規模な治験も2回投与となる可能性が高いという。

(アナリストの見方や治験結果の詳細などを追加して更新します)

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