(ブルームバーグ): 東芝が31日に開催する定時株主総会を前に、物言う株主らの動きが活発になっている。同社の筆頭株主であるエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが推薦する社外取締役候補者2人は、「勝算は十分ある」とし、機関投資家らへの働き掛けを強めている。

  エフィッシモによる株主提案で取締役候補として推薦された弁護士の竹内朗氏と元花王執行役員の杉山忠昭氏が、ブルームバーグの取材に応じた。両者がエフィッシモ候補者に名を連ねたのは、同ファンド法務アドバイザーの国広正弁護士の仲介がきっかけだった。竹内氏は「エフィッシモ関係者と面識はなかったが、情報交換をするうちに東芝に関する問題意識を共有できた」と話す。

  竹内氏が問題視するのは、東芝子会社の東芝ITサービス(TSC)で1月に発覚した架空取引の問題。4年間で計約435億円に上るものだったが、外部専門家らは「取引先の営業担当者が主導した」と考え、子会社の主体的な関与はなかったと結論付けた。竹内氏は親会社の子会社管理という問題意識が欠如していると感じたという。

  東芝の総会を巡っては、米議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)、グラスルイスがともに会社提案の取締役選任案に賛成し、株主提案に反対を推奨。東芝の取締役会は、会社提案の12人で必要かつ十分な体制が確保できるとして株主提案に反対している。

  杉山氏は、子会社の不正が発覚した「現在は平時ではなく治療が必要。人数の枠を崩しても取締役会を増強すべきだ」と指摘。「われわれの思いが内容、表現を含めて両助言会社に通じなかったわけで、主張の見直しと検証をしたい」と述べ、株主や助言会社に今後も個人として真摯(しんし)に説明を続けるとした。

内部統制の強化

  竹内氏は15日付で、TSC問題について取締役会に見解をただす公開質問状を送付。「東芝のグループ内部統制にどんな問題があったのかという根本原因を解明していないのに対策を講じても、対症療法であって根治できない。取締役候補者として、株主や社会に対し問題提起したかった」と意図を説明した。

  一方、東芝側も架空取引問題を重視する姿勢を見せている。8日には内部統制の強化を目指したコンプライアンス有識者会議を設置したと発表した。竹内、杉山両氏は個別にこの会議へのメンバー入りを打診されたが断ったという。竹内氏は東芝側から、「取締役でないと駄目なんですか、有識者会議では駄目なのか」と言われたが、取締役としての責任を負いながら貢献するためには断らざるを得なかったと述べた。

  東芝広報担当の蝦名卓氏は、竹内、杉山両氏から有識者会議への参加を断られたのは事実とした上で、「当社として取締役の人数は現状の12人が適切だと考えており、減らすことはあっても増やすことはしない方針だ。株主提案の候補者の方々とも面談し、スキルやご経験を踏まえて入れ替える必要はないと判断している」と電話でコメントした。エフィッシモの広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られていない。

  旧村上ファンド出身者が設立したエフィッシモは、東芝株の15.36%を保有。創立メンバーでディレクターの今井陽一郎氏も含め、計3人の取締役選任を求めている。竹内氏は危機管理や不祥事対策に強みを持ち、これまで日立化成の検査不正や商工中金不正融資問題の第三者委員会委員を歴任。杉山氏は花王のコンプライアンス担当を約15年務めた。

  エフィッシモとは別に2人の社外取締役選任を求めている3Dインベストメント・パートナーズは20日、会社側が提案する車谷暢昭社長らの取締役選任議案に反対する意向を表明した。

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