(ブルームバーグ): 中国が南シナ海に発射したミサイルは、米軍の空母と基地への攻撃能力を示す米国への警告だ。

  香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は中国人民解放軍に近い関係者を引用し、「東風21D」と「東風26B」が26日に発射されたと報じた。いずれのミサイルも、域内の米軍事資産を破壊できると威嚇することで中国の東側海域での軍事行動を抑止する戦略の中核となる兵器だ。

  ハワイパシフィック大学の外交軍事科学プログラム非常勤教職員カール・シュスター氏は、「米空母打撃群への対処法が中国にはあり、スケジュールに左右されることなく常に対応可能だというシグナルを、中国は米国とその同盟国やパートナーに送っている」と指摘した。米太平洋軍統合情報センターで作戦担当ディレクターだった同氏の見方は、「米国が南シナ海に空母2隻を展開するなら、『空母キラー』ミサイルを撃ち込むと中国は実質的に言っている」ということだ。

  米防衛当局者が匿名を条件にブルームバーグ・ニュースに述べたところによれば、中国は今週の軍事演習中に中距離弾道ミサイル4発を発射し、中国の海南島と領有権が争われている西沙(パラセル)諸島の間に着弾した。中国が主張する海洋権益を否定したトランプ政権の決定を支えるため、米空母が最近実施した演習海域からあまり離れた海域ではない。

  中国国防省は27日、ミサイル発射への言及は避けながら、軍事演習は特定の国を想定したものではないとあらためて説明。同省の呉謙報道官は北京での記者会見で、「一部の米政治家」が米中間の対立をあおろうとしている」が、中国は「恐れていない」と語った。

 

  北京を拠点とする海軍の専門家、李傑氏はミサイル実験を確認することは控えながらも、「狙いは兵器の性能を試すことだ」とし、「米国が南シナ海での軍事活動を増やしており、米国に対し警告を発していると言うこともできるかもしれない」と話した。

  米太平洋軍司令官だったハリー・ハリス氏は、「世界で最大かつ最も多様なミサイル能力」を中国は有しているとの認識を示していた。開発中のさまざまな兵器が数多くあるという。 東風21Dの射程距離は1500キロメートル超、東風26は推定4000キロとグアムまで十分到達可能だ。

  カーネギー国際平和基金の核政策プログラム担当シニアフェロー、アンキット・パンダ氏によると、「リアルな問題」は中国の空母キラーが実際に機能するのかどうかという点だ。そうだとすれば、今回の実験はその性能をよりよく理解するチャンスを米国に提供することになったかもしれない。

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