(ブルームバーグ): 財務省が1日発表した法人企業統計(速報値)によると、4−6月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は前年同期比11.3%減と2四半期ぶりにマイナスとなった。新型コロナウイルス感染症の拡大で社会経済活動が世界的に停滞する中、減少幅はリーマンショック後の2010年1−3月期(11.5%減)以来の大きさ。市場予想では4.0%減少が見込まれていた。

  売上高は17.7%減と09年1−3月期(20.4%減)以来の落ち込みで、過去2番目の減少率。経常利益は46.6%減と、同年4−6月期(53.0%減)以来の大きさだった。

  

エコノミストの見方

明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミスト:

設備投資は予想よりもマイナスが大きかった。これを受けて4−6月期の国内総生産(GDP)は下方修正になるだろう。もともとGDP速報では設備投資の数字が比較的底堅かったので違和感があったやはり年初からの新型コロナウイルスの影響が4−6月になってはっきり企業の設備投資計画に表れてきたのだと思う。見通しがつかない中、企業としては設備投資を下方修正せざるを得ない今後も軟調に推移すると思う。生産がある程度戻ってきても、元のレベルまでは回復していないので、設備投資をして生産能力を拡大するということにはならない

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長:

企業収益が大幅に減少し経済活動が制約されていた中で設備投資を減らすのは企業としては自然なこと。ただ減らすペースは想定されていたよりも速かった省力化投資やR&Dなどへの投資の需要はあるが、キャッシュがなければ難しい。設備投資はしばらくは減少傾向をたどるとみている景気全体で見ると最悪期は脱しているが戻りの力は強くない。4−6月期のGDPも下方修正の可能性が高い

大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト:

法人企業統計を受けGDP2次速報の設備投資は下方修正となる可能性がある。GDP全体では4−6月期に当面の底を付けた形になるが、設備投資は7−9月期もマイナスが続くかが一つの論点。これまでの関連統計からマイナスが続くとの見方も少なくないが、個人的には横ばいくらいと予想している足元では消費や輸出は持ち直しの方向にあるが、設備投資が立ちいかなくなれば、タイムラグを伴って雇用に影響が出てくる可能性がある。しかし、雇用は政府などの施策によって踏みとどまっている状況といえる

詳細(財務省の説明)

設備投資サービス業での投資抑制の影響を受けて減少。今期の調査結果は新型コロナ感染症の影響により極めて厳しい経済全体の傾向を反映した。今後とも企業動向に注視したい製造業では感染症の影響による需要低下に伴う投資抑制で化学や金属製品がマイナス寄与非製造業では娯楽などで投資を抑制したサービス業、感染症の影響で産業機械や自動車などリース資産への投資抑制で物品賃貸業がマイナス寄与需要が減少し不要な投資を避けようという動きが広がった。今年度の設備投資は来週公表する予測調査でヒアリングしているため、来週そういった状況について説明したい売上高製造業では、感染症の影響で世界的に自動車販売が減少した輸送用機械、自動車向け製品需要が減少した化学がマイナス寄与非製造業では、資源価格が影響した卸売り、店舗休業で販売減少した小売り、休業や外出自粛で来客数が減少した宿泊・飲食・旅行・娯楽などサービス業がマイナス寄与経常利益製造業では、世界的な自動車販売の減少で輸送用機械、飲食店向け需要減で食料品がマイナス寄与非製造業では、サービス業や旅客輸送需要の減少で運輸業・郵便業がマイナス寄与短期借入金が高い伸びを示し、現預金が増加。手元流動性も20.1%と、ここ1年で高い水準となった今回の回答率は69.4%と、従来の70%台の水準に戻ってきている

背景

新型コロナウイルス感染拡大の影響で国内外の経済活動が停滞する中、4−6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率27.8%減と、統計をさかのぼれる1955年以降で最大の落ち込み。設備投資は前期比1.5%減少した。法人企業統計を反映したGDP改定値は8日に発表4−6月期の機械受注は、船舶・電力を除く民需の受注額がリーマンショック後の08年10−12月期以来の大幅減少。経済活動の世界的な停滞で設備投資を手控える動きが広がった

(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)

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