(ブルームバーグ): 中国の華為技術(ファーウェイ)や北京字節跳動科技(バイトダンス)の「TikTok(ティックトック)」、テンセント・ホールディングス(騰訊)の「ウィーチャット(微信)」を狙った米国の規制は始まりにすぎない。次に来る何かが、今後数十年にわたり世界経済の形を変える可能性がある。

  トランプ米大統領が打ち出した中国の一部大手企業が米国民の個人データにアクセスできないようにする規制は、月内に適用される。中国共産党の関与を許さない「クリーンネットワーク」を創出するための広範な取り組みの一環だ。第5世代(5G)移動通信ネットワークからクラウドサービスや海底ケーブルに至る全てを巻き込むこの戦略は、すでに企業の取引や地政学に影響を及ぼしており、国も企業も米中どちらの側につくか圧力を感じている。

ポンペオ氏、中国テクノロジー企業との「決別」を米企業に促す

  こうした長期リスクに市場はすでに覚醒しつつある。中国が国内の半導体業界を抜本的に改革する計画を巡る報道を受け、3日の米株式相場は半導体銘柄を中心に急落した。

  

  米国で今議論されているのは、スマート冷蔵庫や運動モニターを含むあらゆるデータへの中国のアクセスを制限するかどうかだ。シリコンバレーや深圳のビジネスリーダーは、こうした動きがグローバル経済全体のデカップリング(切り離し)につながる可能性を懸念している。

  全世界のオープンネットワーク化を提唱しているインターネットソサエティのプレジデント、アンドルー・サリバン氏は「これら全てが根本的にインターネットそのものへの攻撃だ。ネットワーク化されたアプリケーションに囲まれ成長してきた経済全体を破壊する試みだ」と指摘する。 

 インターネットが「今、地政学的競争の新たな戦場」になっているとする米ブルッキングズ研究所のジェフリー・ガーツ政策グループ研究員は「こうした緊張が消散することはないと思う。長期にわたり共生し、何とか対応しなければならない」と述べる。中国のアリババグループを創業した馬雲(ジャック・マー)氏によれば、21世紀の経済を推進する上で、石油よりもデータが重要だ。

  米国主導の「クリーンネットワーク」はすでに、10カ国余りの30社近い「クリーン」な企業をリストアップ。今のところ厳格に適用されているのは米外交機関・施設で、中国企業のような「信頼できないIT(情報通信)ベンダーからの伝送やコントロール、コンピューティング、ストレージ機器を末端に至るまで使用してない通信経路」が義務付けられている。

  トランプ大統領は7日、「われわれの中国依存を終わらせる」と明言。だが中国の元外交官で、かつての最高指導者、鄧小平氏の通訳を務めた高志凱氏は「中国狙い撃ちを続け、きょうはファーウェイ、あすにテンセントをつぶしたとしても、中国の着実な経済発展という全体的なトレンドを変えることはできない」と話す。

中国との経済関係を大幅に縮小させる−トランプ米大統領が主張

  米中間の緊張を解消する上での1つの大きな問題が信頼だ。ポンペオ米国務長官は先月、米国は中国共産党が言う「全てに挑む必要がある」と主張。中国が制定した香港国家安全維持法(国安法)は民主派を標的とし、フェイスブックとグーグル、ツイッターは香港政府から要請された利用者データ処理を停止した。

  ヒンリッチ財団のアレックス・カプリ調査研究員は「サプライチェーンの武器化から、データとプラットフォームの武器化に向かうシフト」に言及、「これについて中・長期的な考察はまださほど行われていないが、起き始めている」と分析している。

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