(ブルームバーグ): ソフトバンクグループは14日、ビジョン・ファンドとともに保有する半導体設計子会社の英アームの全株式について、コンピューター・グラフィックス(CG)用半導体製造で最大手の米エヌビディアに最大400億ドル(約4兆2000億円)で売却すると発表した。

  発表資料によると、エヌビディアによる買収は現金と株式を組み合わせる形で行われ、ソフトバンクGとビジョン・ファンドは現金100億ドルと215億ドル相当のエヌビディア株を受け取る。また、一定の条件成立時にも現金か株式いずれかを受領する。取引完了後のエヌビディア株の保有比率は6.7%から8.1%となり、最大保有時には筆頭株主になる見通しだ。

  英国や中国、欧州連合(EU)、米国を含む規制当局の承認などが必要なことから、取引の完了は2022年3月ごろとなる見込み。

  M&Aアドバイザリー業務を手掛けるカチタスの平井宏治社長は電話取材で、「ソフトバンクGに現金が入り、銀行への有利子負債圧縮の観点でポジティブだ」と述べた。また、アームは米国企業になるため、「米政府の意向を受けざるを得ず、アームの中国ビジネスの問題を含め、今後米中の半導体を巡る争いが熾烈(しれつ)になるだろう」との見方も示した。

  14日の日本株市場で、ソフトバンクG株は一時前週末比10%高の6443円と急騰。上昇率の大きさは3月25日(12%)以来、およそ半年ぶりとなった。ソフトバンクG株を巡っては、株式の非公開化の動きが浮上している。複数の関係者によると、アームの売却合意後に協議を再開するという。

  ソフトバンクGは16年9月に310億ドルでアームを買収した。孫正義社長は8月の決算会見でアームについて、保有株式の一部あるいは全てを売却することを「選択肢の一つとして検討を開始している」と発言。交渉相手についてはノーコメントとしていた。

  アームは1990年の設立で、英国ケンブリッジに本社を置く。マイクロプロセッサーのIPや関連テクノロジーのデザイン、ソフトウエアサービスの提供を行っており、20年3月期の売上高はライセンス収入の増加で前の期に比べ2%増の2067億円、セグメント利益は中国事業に関連する一時的利益の消失で428億円の赤字だった。

  取引完了後、アームはソフトバンクGの連結対象から外れる予定。ただし、今回の買収は規制当局の承認が条件となっており、取引完了が確実になるまでは引き続きアームを継続事業として扱う。

(識者コメントやアームの概要など追記しました)

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