(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)と英国が締結した離脱協定を一方的に一部無効にできる内容を含む「国内市場法案」について、英下院「第2読会」で審議と採決が14日に行われる。英領北アイルランドのプロトコル(手続き)を巡る部分が焦点だ。

  ジョンソン首相が月末までに提案を撤回しなければ、法的措置も辞さないとEUは警告したが、英政府は要求を拒否。国際法違反になりかねないジョンソン政権の動きに対し、首相経験者やEU首脳からの批判に加え、与党保守党内でも造反の動きが表面化した。

  国内市場法案の下では、北アイルランドと英本土との貿易に関する税関書類手続き免除のほか、「通商合意なき」離脱移行期間終了となった場合、北アイルランドに入る物品が関税の対象かどうか一方的に定める権限が英国の政務担当者に与えられる。

  EU側は英政府が信頼を損ない、国際条約に違反すると非難しており、ミシェルEU大統領(常任議長)は「英国の国際的信用を危うくしている」とツイートした。英・EUの自由貿易協定(FTA)交渉が妥結しないまま、年末の離脱移行期間が終わる危険が高まる恐れもある。

  与党内で法案修正に動く造反議員らを抑え、法案への支持を固めることが、ジョンソン首相にとって差し当たり課題となる。

  英紙タイムズによれば、メイ前政権で法務長官を務めたジェフリー・コックス氏は、英国の国際的評判に首相が「途方もない」打撃を与えようとしていると批判。コックス氏の意見を待ってから法案を支持するかどうか決める方針の与党議員が十数人いるという。

  メージャーおよびブレア元首相も13日付の英日曜紙サンデー・タイムズに連名で寄稿し、ジョンソン氏の提案が「衝撃的」であり、北アイルランド和平合意を危険にさらすと警告。さらにバックランド司法相もBBCテレビに対し、「容認できない」形で法の支配が破られれば辞任する考えを明らかにした。

  ジョンソン首相のチームでEUとの交渉を担当するデービッド・フロスト氏とEUのバルニエ首席交渉官は13日のツイートで、妥結しない場合に英本土から北アイルランドへの食料品の輸送を阻止するとEUがFTA交渉で脅したかどうかを巡り意見を戦わせた。

(国内市場法案の内容について追加して更新します)

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