(ブルームバーグ): 自民党の野田聖子幹事長代行(元総務相)は、同党に最も欠けているのは多様性だとして、女性候補者擁立の動きを加速させ、「体質改善」に取り組む考えを示した。菅義偉首相の党総裁任期満了に伴う1年後の総裁選への出馬にも意欲を見せた。

  野田氏は23日のブルームバーグとのインタビューで、日本の現状について「世界中から女性の閣僚が少なく多様性を欠く国だと見られている」と指摘。与党が女性議員を増やし、男性主導の政治を脱却しない限り、「この国は変わらない」と述べた。

  すぐに国政選挙に出馬できる女性候補をリスト化し、空席となった選挙区で確実に擁立するよう党内で働き掛ける考えだ。候補者の裾野を広げるため、人口減少で定員割れに直面する地方議会への女性参加を進め、存続させるキャンペーンも展開したいと語った。

  16日に発足した菅内閣の女性閣僚は上川陽子法相と橋本聖子五輪相の2人だけで安倍内閣の退陣時より1人減った。加藤勝信官房長官は23日の記者会見で、閣僚人事は「適材適所で選ばれた」と述べ、女性活躍の推進は「菅内閣でも重要な課題の一つだ」との認識を示した。

  野田氏は菅首相の印象について「シャイな方でそんなに女性議員とも交わる機会がなかった」と話し、自らは女性が適材適所のポストに就くことができるよう党と政府との橋渡し役を担いたい考えだ。特に経済閣僚に女性が就任すれば、消費者目線での経済政策の立案が「もっと強まる」と述べた。

進まなかった女性活躍

  7年8カ月に及んだ安倍晋三政権は、女性活躍の推進を掲げたものの、「20年度までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」という当初目標は達成の見通しが立たず、先送りされた。

  衆院議員に占める女性の割合は1割程度。列国議会同盟(IPU)の調査によれば、日本の女性議員の割合は193カ国中166位で、パキスタンやサウジアラビアを下回る。

  今回の総裁選でも、立候補を模索していた野田氏や稲田朋美元防衛相が断念し、菅首相ら男性3人の選挙戦となった。同党は今年結党65年を迎えるが、総裁選に出馬した女性議員は、2008年の小池百合子・現東京都知事だけだ。

  「日本の政治は女性抜きの民主主義だ」。稲田氏は23日の会見で英語で述べた。女性不在ということで、新型コロナウイルス禍で苦しむシングルマザー支援といった喫緊の課題が盲点になっているという。

  野田氏は15年と18年も出馬に意欲を示していたが、必要な20人の推薦人を集めることができなかった。推薦人が確保できない背景には、自身が女性であることも関係しているとの思いがある。党内では、「まだ男性だけでやり切れる」という意識があり、女性が必要との認識が薄いと感じているとした。

  自身が首相となれば、閣僚の半数は女性とする考えだ。議員を適材適所で任命した後、足らない部分は民間からも登用する構想を示す。野田氏は、「次の総裁選に向けて旗を上げて進んでいきたい」と1年後の総裁選出馬にも意欲を示した。

不妊治療の保険適用

  野田氏は岐阜県議を経て1993年の衆院選で初当選。安倍前首相、岸田文雄政調会長と当選同期で、総務相や党総務会長などを歴任した。私生活では不妊治療を続け、11年には、第三者からの卵子提供を受け、50歳で長男を出産した。

  不妊治療を巡っては、菅首相が総裁選で保険適用の実現を公約の一つとして掲げ、内閣が発足した16日に閣議決定した基本方針にも明記した。

  野田氏は、過去20年間にわたって不妊治療への支援拡充に取り組んできたが、「本当に役所は動かなかった」と明かす。保険適用となれば、治療に対する周囲の理解を深める象徴的な出来事となり、心身の負担を抱える女性に対する「究極のフェミニズム」政策だと実現に期待感を示した。

(稲田元防衛相のコメントを追加しました)

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