(ブルームバーグ): キオクシアホールディングスは28日、東京証券取引所への上場手続きを延期すると発表した。同日開催の取締役会で新株発行と株式売り出しの中止を承認した。最近の市場動向や新型コロナウイルス感染の再拡大への懸念などを総合的に勘案したという。

  発表文書によると、同社は適切な上場時期を引き続き検討する方針。東芝株は発表を受け、一時前週末比8.6%安の2550円まで下落し、3月19日以来の規模の日中下落率となった。

  米国モーニングスターの伊藤和典アナリストは電話取材で、上場延期は今年後半に入りメモリー市況が悪くなりつつあり、高い売り出し価格を設定することが難しくなったためだと説明。旧東芝メモリは2兆円で売却されており、株式も「生半可な値段では売れない」と指摘した。

  米国の制裁が強まった影響で中国の華為技術(ファーウェイ)向けの出荷が「大きなポーションで、スマホ全体も良くない」のも影響したと述べた。

  キオクシアHDは17日、売り出し価格の仮条件を1株当たり2800ー3500円と、8月27日に公表した想定価格3960円を下回る価格に設定すると発表していた。

  キオクシアHDは記憶媒体の半導体NAND型フラッシュメモリーを製造する東芝の主力部門だったが、米原発事業の損失を穴埋めするため2018年に米ベインキャピタル主導の日米韓連合に2兆円で売却された。

  議決権の所有割合は日米韓連合が56%、東芝が41%、HOYAが3.1%。IPOは需要増加が見込まれるフラッシュメモリーの生産能力増強に向けた資金確保のほか、大株主による投資回収という側面もあった。

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