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政府の観光支援事業「GoToトラベル」で1日から東京発着が追加され、航空会社では国内線の予約数が増えている。新型コロナウイルスの影響で旅客需要の低迷に苦しむANAホールディングス(HD)や日本航空(JAL)にとっては、業績回復の追い風になる可能性がある。

  ANAHDでは、東京発着便が国内線収入の7割を占めている。同社傘下の全日本空輸マーケティング室の崔竜氏は、7月の事業開始時に東京が除外されたことが「かなりボトルネックになっていた」と指摘。しかし9月に入ると、観光地として人気の高い沖縄県で緊急事態宣言が解除され、GoTo事業への東京発着の追加見通しがメディアで報じられるようになり、風向きが変わってきたという。

  ANAHDの9月の国内線旅客数は前年同月比34%水準と8月(26%)から増加し、10月は40%台後半から50%台前半まで回復する見通しだ。11月は3連休もあり、「10月よりもたくさんの方に乗ってもらえるのではないか」と崔氏はみている。

  JALでは、GoToで東京発着の予約が解禁された9月18日に航空券と宿泊の自由な組み合わせが可能なパッケージ商品の予約数が前年同日比3倍となり、1日の予約数としては過去最高を記録した。広報担当者によると、国内線の旅客実績は8月が前年比28%、9月が40%弱の水準となり、10月は50%弱までの回復を見込む。

  世界的な新型コロナの感染拡大で人の移動が制限され、4−6月期決算はANAHDが1088億円、JALは937億円の最終赤字に陥った。一方、野村総合研究所の試算によると、GoToトラベル事業の個人消費の押し上げ効果は総額4兆3000億円、東京追加の効果は年7700億円と予想されている。

  全日空の崔氏は、GoTo事業による業績への具体的な影響についてはコメントを控えたが、コスト削減など1社でできる取り組みには限界があり、同事業が「業界全体を救うことになっていくのは間違いない」と述べた。JALの広報担当者も、GoTo事業が同社業績の底上げにつながるとの見方を示した。

  ただし、新型コロナ収束の兆しは一向に見えず、航空業界の先行き不透明感はなお拭えない状況だ。国際航空運送協会(IATA)によると、世界の航空需要が2019年の水準まで回復するのは2024年になる見通し。ANAHDは、修学旅行向け以外のGoTo事業が終わる2月以降の需要喚起策などについて検討を進めているという。

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