(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)は新型コロナウイルスに起因する世界経済の落ち込みが従来の予想に比べ緩やかにとどまるとの見通しを示した。多くの国や地域の政府が打ち出した強力な景気対策で影響が和らいだと指摘する一方で、感染が抑え込まれるまで、回復の道は平たんではないだろうと警告した。

  13日発表した世界経済見通し(WEO)で、IMFは今年の世界成長率予想をマイナス4.4%と6月時点のマイナス5.2%から上方修正した。2021年はプラス5.2%と予想し、従来の5.4%から引き下げた。

  今年の景気縮小は修正後の予想通りでも、大恐慌以来最悪となる。新型コロナの流行を理由に、今週のIMF・世銀年次総会もバーチャルで行われている。

  IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏はWEOの報告書で、「パンデミックの拡大が続いている限り、回復は確実ではない。パンデミック前の活動レベル回復へは、世界中が厳しい道のりに直面している」との認識を示した。

  IMFは欧州の復興パッケージや中央銀行の大規模資産購入など政策当局の取り組みが景気悪化の影響を和らげたと指摘。そうした前例のない支援策が6月以降、先進国・地域および大半の新興・発展途上国の金融環境緩和に寄与したとの見方を示した。

  政策当局は拙速に支援を引き揚げることを避けなければならないとゴピナート氏は強調した。IMFの予測は金融政策が25年末まで現在の状態に維持されることを前提としているという。

  また、社会的距離政策が来年まで継続されるがワクチン普及に伴い徐々に解除され、22年末までには世界中で国内感染数が低水準になることも見込んでいる。

  今年の見通し上方修正は特に、米国とユーロ圏の4−6月(第2四半期)が想定より良かったこと、中国の成長回復が予想以上に力強かったこと、および7−9月(第3四半期)の回復加速の兆候を反映したものだとIMFは説明した。

  米国の今年の成長率予想はマイナス4.3%と従来のマイナス8%から変更され、主要国の中で最も大きく上方修正された。追加経済対策はこの予想で考慮されていない。21年予想はプラス3.1%(従来はプラス4.5%)。

  ユーロ圏は今年がマイナス8.3%(同マイナス10.2%)、21年がプラス5.2%(同プラス6%)。先進国経済全体の今年の予想はマイナス5.8%と、従来予想のマイナス8.1%から引き上げられた。

  一方、新興国市場は今年マイナス3.3%成長と見積もられ、従来のマイナス3.1%から下方修正された。

  主要国の中で今年のプラス成長が唯一見込まれる中国は、今年が1.9%、21年は8.2%の成長が予想されている。

  IMFは21年末までに世界の総生産が19年末を0.6%上回ると予想しているものの、ほぼ全てが中国の寄与によるもので、米国を含めほとんどの国は少なくとも22年になるまでは新型コロナ前の水準を回復しないとみられている。

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